山本高樹 最新刊『流離人のノート』2025年10月中旬発売!

『流離人のノート』完成しました!

10月中旬に金子書房から発売される拙著新刊『流離人(さすらいびと)のノート』が、おかげさまで無事に完成しました。見本誌が手元に届いたので、実物を撮影した写真とともに、どんな感じの本なのか、ここでご紹介しようと思います。

今回、装丁とレイアウトを担当してくださったのは、矢萩多聞さん。多聞さんは個人的にも以前からの知り合いですが、本づくりの現場でご一緒したのは、これが初めて。超多忙と伺っていたので、担当していただけることが決まった時は、本当に嬉しかったです。

加えて、今回の本では、印刷を藤原印刷さん、製本を井上製本所さんにお願いしています。自分の書いた本を、多聞さんにデザインしてもらって、藤原印刷さんに印刷してもらえる日が来るとは……。同業の方ならわかっていただけると思うのですが、すごいことなんです、これは……。

本のカバーに使用した写真は、25年ほど前に一人でアジア横断の旅をしていた時、イランで乗った夜行列車とプラットホームの写真です(真夜中だったので、どこの街の駅だったかはわからないのですが)。カメラは、フィルムカメラのリコーGR1s。カラーネガフィルムで撮った写真を、引き伸ばしてアルバムに綴じてあったのですが、今回、それを藤原印刷さんにスキャニングしていただいて、思いもよらない形で日の目を見ることになりました。本のメインタイトルは、多聞さんによる描き文字のデザイン。

本を手に取ると、ざらっとした思いがけない手触りに、少し驚かれると思います。ハンマートーンという名前の用紙を採用して、見た目だけでなく触感的にも、ラフな雰囲気を演出しています。

造本の面では、本の三方の側面(小口)のうち、「天」と呼ばれる上方を意図的に断裁せずに不揃いのままにする、「天アンカット」という仕様を採用しています。僕がこれまでに出してきた本は、比較的シャープで端正な佇まいの本が多かったのですが、今回の『流離人のノート』では、良い意味でラフで、融通無碍な雰囲気の本にしたいと考えていました。そうした狙いを多聞さんにお伝えしたところ、全体のデザインや用紙の選択、造本の仕様などに、うまく反映していただけたと思っています。

本文用紙とは別の種類の紙を冒頭に1枚挟み、扉ページに。ここにも、多聞さんのデザインによる描き文字のタイトルが入ります。「ノート」の音引き(ー)のところが、紙のノートの小口のようなデザインになっているのがおわかりでしょうか……?

第1章の冒頭には、20〜30年前のいくつかの旅で、フィルムカメラのリコーGR1sで撮影した写真を10枚ほど、それぞれ見開きで大きく掲載しています。プロになる前に完全に趣味で撮っていた写真たちなので、個人的にはまるで自信がなかったのですが、「こういうのが、かえって旅らしくていいんですよ!」と多聞さんや編集者さんに後押しされ、収録することにしました。カバーの写真同様、引き伸ばしてアルバムに綴じてあった写真の紙焼きを、藤原印刷さんでスキャンしていただき、理想的な色合いで印刷していただいています。

第2章の冒頭には、僕がこれまでにアラスカを何度か訪れて撮影してきた写真を、10枚ほど掲載しています。これまで仕事で発表していない未公開の写真も多く、アラスカについての何篇かのエッセイとともに、まとめてご覧になっていただける良い機会になりました。

『流離人のノート』の刊行に合わせて、今回も数量限定の特典を作りました。本自体には未収録のエッセイ『人生最速で自転車を漕いだ日』を掲載した小冊子です。この小冊子も、デザインは多聞さんにご担当いただいていて、あると嬉しいミニブックになっています。

特典小冊子『人生最速で自転車を漕いだ日』は、主に5冊以上の入荷がある一部の書店で配布していただきます。なくなり次第終了ですので、どうかお早めに。

ポルべニールブックストアの店頭およびWebショップでは、『流離人のノート』の特典付きサイン本を販売していただいています。確実に小冊子を入手したい方は、こちらをぜひご利用ください。

『流離人のノート』(特典小冊子つきサイン本)販売ページ
(ポルベニールブックストア)

大勢の方々と力を合わせて作り上げてきたこの『流離人のノート』が、みなさんの目に触れる時が来るのが楽しみです。書店で見かける機会がありましたら、ぜひお手に取ってみてください。

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