種まきの日々

種まきの日々

シャクティでの10日間のファームステイを終え、レーに戻ってきました。終わってみればあっという間の、とても充実した日々でした。とりあえず、どんな感じだったのかをかいつまんで書いてみたいと思います。

僕がシャクティで滞在したのは、ツェリン・ナムギャルさん(一番右)という方の家。3階建の古くて大きな屋敷に、奥さんのクンジェス・アンモさん(中央右)と妹のムトゥク・ドルマさん(一番左)、使用人のデスキット・アンモさん(中央左)の4人暮らし。お年寄りが多いこともあって、とても物静かな一家です。

毎日の仕事は、畑に水を引いたり、壊れた石垣を修繕したり、いろいろやったのですが、一番多かったのは種まきの仕事でした。あらかじめ水を引いて少し置いた畑を、2頭のゾ(ヤクと牛の混血種)に結わえ付けた鋤で、端から丹念に掘り返していきます。ゾと鋤を操るのはツェリンさんのほかに、応援に駆けつけた親類の男性たちが交代で担当していたのですが、みんな朗々と歌を歌いながらゾを追うのが面白かったです。「どういう意味の歌?」と聞くと、「進めとか、回れとか、止まれとか、ゾへの命令なんだよ」という答えが。なるほど。

ゾが鋤で掘り返したあとには、女性たちがすかさず種をまきます。バッレという高地性の麦や、いくつかの種類の豆をまいたりしていました。種をまいた後は、そのすぐ内側をゾがまた掘り返すので、自動的に土がかぶせられるというわけです。

種まきに限らず、段々畑の合理的な構造とか、効率的な水の引き方とか、ラダックの人々の畑仕事はとてもロジカルだなという印象を受けました。限られた土地、わずかな水、短い夏という条件の中で、与えられたものを最大限に活かすように工夫しているのです。

で、僕が畑で何を担当していたかというと、種をまいたあとの地ならし。大きな土の塊を崩しながら、地面が平らになるようにならしていきます。これが意外と疲れる。でも、ならした後の地面は空気を含んでふかふかで、2週間もすれば青い芽が芽吹いてくるそうです。大きくなれよ(笑)。

今回の滞在がとても居心地がよかったので、秋の収穫期にはまたシャクティを訪れるかもしれません。自分たちが手がけた作物を収穫するのはどんな気分なのか、できれば味わってみたいと思います。

上ラダック(トゥ)カテゴリの最新記事