Days in Ladakh

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』
文・写真:山本高樹
価格:本体1800円+税
発行:雷鳥社
A5変形判288ページ(カラー77ページ)
ISBN978-4-8441-3765-8
配本:2020年4月下旬

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書き下ろしの旅行記としては、11年ぶりに、新刊を上梓します。

2019年の1月から2月にかけて、僕は友人のパドマ・ドルジェとその従弟のゾクパ・タルチンとともに、冬のザンスカールを旅しました。凍結したザンスカール川の上に現れる幻の道チャダルを辿り、雪崩が頻発する豪雪地帯ルンナク渓谷を抜け、最深部の僧院、プクタル・ゴンパへ。そこで真冬に催される祭礼、プクタル・グストルの一部始終を見届けるための旅でした。プロの写真家、あるいは文筆家で、真冬にプクタルまで往復してグストルの取材をしてきた人間は、日本にも、世界にも、たぶんいないと思います。

何年も前から自分で計画していた旅でしたが、出かけるまでは、文章も写真も、人に伝えるに足るものを持ち帰ることができるかどうか、正直、半信半疑でした。もしかすると、短い雑誌記事にまとめるのが精一杯かもしれない、と。

でも、実際に旅を終えてみると、僕の目の前には、旅に出る前には想像もしていなかった、一篇の冒険物語が立ち現れていました。僕自身の冒険ではありません。それは、ともに旅してくれた二人の友人と、旅の途上で出会った人々、そして、遠い昔から幾世代も生と死と祈りを紡いできた、ザンスカールに生きるすべての人々の冒険の物語でした。

これは、何としても、形にしなければならない。全身全霊を込めて、書いて、本にして、伝えなければならない。ただただ、その思いだけで、去年から一心不乱に制作に取り組んできました。こうして、刊行のお知らせをできる段階にまで漕ぎ着けられて、ものすごくほっとしています。

この本の出版を引き受けてくれたのは『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』の発行元でもある、雷鳥社。文中に現れる地名の表記など、細かい現地情報の確認には、ラダックの現地旅行会社ヒドゥンヒマラヤのツェワン・ヤンペルさんと上甲紗智さんにご協力いただきました。本のデザインは、プクタルを夏に訪れた経験もある知人のデザイナー、あきやまなおこさんに担当していただいています。カラー写真も約60点収録しているので、冬のザンスカールやルンナクの雰囲気を、存分に味わっていただけるはずです。

この『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』が書店に並びはじめるのは、4月25日(土)頃から。一部の書店では、『冬の旅』に数量限定特典のミニ写真集『夏の旅 ラダック、東の高地へ』を同梱した形での店頭販売を予定しています。どの書店でセット販売が行われるのかは、確定次第、このサイトでも随時お知らせしていきます。

また、この本の発売に際して、刊行記念トークイベントの開催も予定していますが、昨今の新型コロナウイルスの流行状況も慎重に考慮した上で、開催時期などの詳細をお知らせできればと思っています。今しばらくお待ちいただけると幸いです。

僕にとって、本当に、大切な一冊になりました。何かと不穏な世の中ですが、この本が、一人でも多くの方に届きますように。

『冬の旅』特典:限定ミニ写真集『夏の旅 ラダック、東の高地へ』

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』の刊行に合わせて、数量限定の特典を制作しました。今回は、なんと、写真集です。

写真集のタイトルは『夏の旅 ラダック、東の高地へ』。ラダックの中でも、チベットのチャンタン高原に連なる東の高地、パンゴン・ツォ、ツォ・モリリ、そしてハンレといった地域の写真を選んで、フルカラー16ページのミニ写真集を作りました。シンプルなものですが、かの地にまつわる文章も書いています。デザインは『冬の旅』と同じく、あきやまなおこさんに担当していただいています。

この『夏の旅 ラダック、東の高地へ』は、日本国内の一部の書店で、『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』に同梱した形で販売される予定です。今のところ確定しているお店は、下記の通りです。どの書店でセット販売が行われるのかは、今後も新しく確定しましたら、このサイトで随時お知らせしていきます。

ジュンク堂書店 池袋本店
紀伊国屋書店 新宿本店
ブックファースト アトレ吉祥寺店
書泉グランデ
くまざわ書店 武蔵小金井北口店
丸善 博多店
ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店
MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店
精文館書店 本店

また、『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』の発売に合わせて計画している刊行記念トークイベントの会場でも、この『夏の旅』を『冬の旅』に同梱した形で販売します。イベントの開催時期などについては、昨今の新型コロナウイルスの流行状況も慎重に考慮した上で決定し、お知らせできればと思っていますので、今しばらくお待ちいただけると幸いです。

『夏の旅 ラダック、東の高地へ』の印刷部数は、店頭配布分とイベント配布分とで分けてはいますが、どちらもごくわずかですので、在庫がなくなり次第、終了となります。ご興味をお持ちいただける方は、ぜひお早めに。

新型肺炎流行に伴うインドへの渡航制限について:その2

中国国内だけでなく、今や世界各国に感染が拡大し、WHOからもパンデミック(世界的な流行)宣言が出た、新型コロナウイルスCOVIC-19。それに対してインドでは、2020年3月3日の時点で、日本などの数カ国に対し、発給済みの各種ビザの一時無効化や、新規のビザの発給の一時停止という措置を発表していました。

しかしその後、インド国内でも新型肺炎の感染者の存在が各地で判明するようになり、ラダックでも、イランへの巡礼に行っていたという2名の方が感染していたことがわかるなど、波紋を広げていました。インド政府は3月13日から4月15日まで、すべての国々を対象に、発給済みの観光ビザや商用ビザを一時無効化すると発表。日本などに対して行われていた施策をすべての国々に適用する形になりました。

これでしばらくの間は、日本のみならず世界各国から、旅行でインドを訪れることはできなくなりました。仕方のないことですが、早く事態が好転してくれるといいですよね。また何か新しい情報が入ってきたら、随時お知らせしていきます。

新型肺炎流行に伴うインドへの渡航制限について

2019年末に中国で発生して以来、世界各地で感染者が増加している新型コロナウイルスCOVIC-19。この新種のウイルスによる肺炎の流行に伴い、日本からインドへの渡航に対しても、2020年3月3日現在、次のような制限がかけられています。

2020年3月3日以前に日本人向けに発給されていたインドのe-Visaや各種ビザは、すべて無効になると発表されています。やむを得ない理由で渡航の必要がある場合は、管轄のインド大使館・総領事館にて新規ビザの申請が必要とのことです(おそらく現時点では、ビザの取得は非常に難しいと思います)。これまで、インド到着時に空港で提供されていたアライバルビザは、発給を停止されています。また、従来オンラインで申し込むことのできたe-Visaも、新規の申請受付を停止しています。

仮に何らかの理由でインドへの入国が許可された場合も、空港での入国審査時に、発熱検査と健康診断カードの提出によるスクリーニングを受けなければなりません。その際、発熱(37度2分以上)や咳などの症状がある場合は、医療機関などで一定期間待機させられる可能性があります。入国後も28日間はインド政府による観察対象者とされ、健康状態などを照会される場合があるそうです。2020年1月15日以降に中国本土(香港とマカオは除く)への渡航歴のある人は、インドへの入国は現在許可されていません。

厄介なウイルスのせいで、何とも面倒なことになってきましたね……。インドへの渡航について、また何か新しい情報が入ったら、随時お知らせしていきます。

ラダックと環境問題

ヒドゥンヒマラヤのサチさんもブログで言及されていますが、2020年から、ストク・カンリへの入山がしばらく禁止されることになりました。期間ははっきりしていませんが、今後数年間は登山が許可されないだろうとのことです。

ストク・カンリは標高6123メートルに達するラダックでも有数の高峰で、その高さの割にアプローチが短くて容易なことから、最近は多くの登山者が押し寄せるようになっていました。それに伴って、登山者が投棄するゴミなどによる環境破壊が深刻化していたこと、ここ数年の間に登山者の死亡事故が相次いでいたことなどが、閉山の理由になったのではないかと思います。

ラダック界隈での登山を愛好されている方には申し訳ないのですが、個人的には、こうしたコントロールがなされるのは、ラダック全体にとってはよい方向なのではないかと考えています。

ラダックを訪れる観光客の増加による環境破壊は、ストク・カンリ以外の場所でも緊急の課題となっていて、実際にいくつかの対策が打たれています。たとえば、パンゴン・ツォでは、湖畔に建てられた食堂やキャンプホテルから排出されるゴミや汚水が湖の汚染の原因になってきていたため、湖から一定距離内での店や宿の営業が禁じられました。トレッカーによるゴミの投棄が問題になっていた冬のチャダル・トレックでは、旅行会社が責任を持ってゴミを持ち帰るというルールが制定され、キャンプサイトではトイレの設置やゴミ回収スタッフの派遣が行われるようになりました。

こうした環境保護目的の施策は(インドあるあるですが)いずれも唐突かつ強権的に始められてしまうので、関係者の方々は大変だろうなあとは思いますが、まったく何もアクションが起こらないよりはずっとましなのかもしれません。

ラダックは、レーを中心としたゴミや生活排水の処理など、依然として大きな課題を抱えています。インド政府は、ハコモノや道路など目に見える部分に投資するだけでなく、環境を守るために必要な、目に見えづらい部分への取り組みも今後進めてくれたらなあ、と思います。