ヌブラでの日々

6月28日から7月4日まで、ラダック北部のヌブラ地方に行ってきました。レーからビーコン・ハイウェイを北上し、カルドゥン・ラという標高5000メートル級の峠を越えた先にある、シャヨク川とヌブラ川の流域に広がる緑豊かな場所です。外国人がヌブラに行くためには、ILPが必要になります。

写真は、最初に滞在したデスキットという村で目にした早朝の風景です。

デスキットには、デスキット・ゴンパというゲルクパの僧院があります。険しい岩山の上に建てられたゴンパの建物が朝日に輝くさまは、とても美しい眺めでした。ふもとからはとても近くにあるように見えますが、上まで登るのに3、40分ほどかかりました。

野菜の根に付いた泥を洗う女性。ほかのラダックの地方に比べると、ヌブラの村々は本当に水が豊富です。シャヨク川とヌブラ川だけでなく、周辺の山々からいくつもの小さな川が流れ込んでいるようで、村の中を歩いていても、いつも川や水路のせせらぎの音が聞こえていました。

デスキットと北西へ8キロほど離れたところにあるフンダルという村（シャヨク川流域で外国人の入域が許可されている境界線の村です）の間には、白い砂丘地帯が広がっています。キャメルサファリも催行されているそうですが、そこまでして突っ切ることもないかと‥‥（笑）。デスキットからフンダルまで、歩いて2時間半かかりました。

デスキットの次に滞在したのは、ヌブラ川流域にあるスムルという村です。こぢんまりとした居心地のいい村で、僕はとても気に入りました。村の中を歩いている時、この老人に写真を撮らせてもらうと、「うちでミルクを飲まないか？」と、自宅へ案内してくれて、しぼりたての温かいミルクをごちそうになりました。うまかった〜。

緑豊かな土地と形容されるヌブラですが、単に緑が多いというより、緑の密度が濃いという印象を受けました。草も木も作物も、水気のあるところには隙間なくみっしりと生えているのです。ほかの地方のラダッキたちがヌブラのことを美しい土地と呼ぶ理由がわかったような気がしました。

道端に停めてあったローラー車の運転席で遊んでいた子供たち。スムルにて。

‥‥こういうラダックの人々のポートレートはこれまでにもたくさん撮っているのですが、もったいないので小出しにしていきます（笑）。

「‥‥何だこの殺風景な写真は？」と思われるかもしれませんが、これは温泉。スムルから北に20キロほど離れたところにあるパナミックという村（ヌブラ川流域で外国人が入域を許可されている境界線の村です）には、温泉が湧いているのです。山の斜面にある湯元にコンクリートの小屋が建っていて、2つある個室の中にご覧のような打たせ湯形式の温泉があります。

最初はその個室のダークな雰囲気にちょっと引き気味だったのですが、いざ浴びてみると、ちょうどいい湯加減でとても気持ちイイ。浴び終わった後は身体がホカホカして、肌も心なしかツルツルになったような気がしました。

今回、僕は7日間というILPの期限をめいっぱい利用して、ローカルバスでヌブラを回ったのですが、ほとんどの旅行者はジープをチャーターして、2、3日で効率よく回っているようです。でも、もしスケジュールに余裕があるなら、もっと時間をかけて、フンダルやスムルのような小さな村でゆっくりくつろぎ、村の人々との交流を楽しむのもいいんじゃないかと思いました。