1月6日と7日、レー近郊のスピトク・ゴンパでグストルという仮面舞踊(チャム)の祭りが開催されました。スピトクはゲルクパという宗派なので、祭りはティクセやカルシャと同様の手順に則って行われます。
スピトクの座主であるクショ・バクラ・リンポチェは、先代が亡くなった後、まだ転生者が見つかっていないということで、本来座主が坐るべき席には黄色い僧衣が形を整えて置かれていました。
祭りが始まりました。色とりどりの仮面をつけた僧侶たちが、入れ替わり立ち替わり現れては舞を披露していきます。初日は日曜日だったこともあって、会場となったゴンパの境内にはあふれんばかりの観客が詰めかけました。
この日は時折粉雪もちらつく寒い一日でした。頬を切るような冷たい空気の中、僧侶たちの熱演が続きます。
スピトクでもやっぱり一番人気はこのアツァラ(チティパティ)。観客にちょっかいを出したり、小麦粉を撒き散らしたり、暴れたい放題のフリーダムっぷり。子供たちがキャーキャー言って喜んでいました。
ダオと呼ばれるツァンパで作られた人形の破壊の前に、黒帽の僧侶シャナクたちが現れて儀式を行いました。口元を布で覆っているのは、悪霊を吸い込まないためだとか。
初日の主役は、ダオの破壊を任されたシャワ(鹿)でした。派手な舞を踊りながら、ダオから内臓を引きずり出して放り投げ、その後はダオをメッタ切り。最後は頭を振り乱して祈りを捧げていました。
ゲルクパの守護尊、ドルジェ・ジッチェ(金剛畏怖)の仮面。スピトクでもっとも古いラカン、ゴンカンに祀られているのもこのドルジェ・ジッチェです。
2日目はうってかわって穏やかな晴天となりました。午前中に地元の有力な支援者を迎えてのセレモニーが行われた後、仮面舞踊が始まります。
パンデン・ラモ(吉祥天女)の仮面が登場。頭上の傘は回転します(笑)。ティクセのグストルと違って、スピトクではパンデン・ラモを呼び寄せるラバ(シャーマン)の出番がなかったのが残念でした。
2日目のダオの破壊はシャナクたちによって行われました。印を結んで儀式を見守る横顔、凛々しいですね。
スピトクのグストルはティクセのものをややスケールダウンした感じの内容でしたが、地元の人々が中心だった観客のマナーもとてもよく、気持ちよく見学させてもらうことができました。とはいえ、やっぱり寒いですね、この季節のチャム見物は(笑)。
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