遊牧民たちと別れた後、僕は今回のルート上の難関、キャマユリ・ラという峠にさしかかりました。標高は5500メートルくらいあるはず。酸素が本当に薄くて、息を吸っても吸っても苦しい。足がぱたりと動かなくなりました。
ようやく辿り着いたキャマユリ・ラの頂上でひと休み。リンゴをかじりながらはるか後方に広がるツォ・カルを眺めていると、峠の下から一頭の馬が登ってきました。
馬に乗っていたのは、まだ若い遊牧民の青年でした。カッコイイなあ。
この日は峠を下って少し行ったところにある、ギャマ・バルマというキャンピングサイトで幕営しました。ものすごく寒くて、持ってる服を全部着なければ眠れなかったです。
最終日は、カルツェ・ラとヤルン・ニャウ・ラという2つの峠を越える長丁場。2つめの峠を登っていると、突然、道端の穴の中からジブラ(ラダックナキウサギ)が出現。か、かわいい‥‥。足音を忍ばせてそーっと近づいて、何とか撮影成功。
2時間近くもひたすら登り続けて、ようやく最後の峠に到達。その向こう側を見たとたん、僕は思わず「うわーっ!!」と叫び声を上げてしまいました。そこには、まるで空が溶け込んでしまったかのように青い青いツォ・モリリの全景が。標高5400メートルの峠の頂上から標高4500メートルの湖の姿を眺めるなんて、ちょっとほかではできることじゃありません。
一年ぶりに訪れたツォ・モリリは、本当に青くて澄み切っていて、美しい湖でした。こんな風景を眺めていると、なんか細かなわずらわしいことなんて、どうでもよくなってしまいます。
ツォ・モリリに渡り鳥が訪れるシーズンはもう終わりかけていて、残念ながらお目当てのブラックネック・クレーン(首の黒いツル)の姿は見ることができませんでした。これは顔の部分が茶色いカモメの仲間のようです。
水辺では、こんな小さい鳥がピョンピョン跳ねながら餌をついばんだりしています。こんな標高の高い場所なのに、生命の気配があふれているのです。
湖畔の湿原にたくさん咲いていた白い花。強い香りをあたりに放っていました。
この湿原では、本当に脆弱で希少な生態系が育まれています。湿原への車の乗り入れやゴミの投棄などは固く禁じられていますが、それでも時折、河口付近でペットボトルやビニール袋が漂っているのを見かけると、ちょっとがっかりしてしまいますね。
標高5000メートルの高地を往くルプシュの旅は、ザンスカールへの旅とはまた違った表情を持つ、とてもユニークなものでした。なかなか気軽にチャレンジできるルートではありませんが、機会があれば、ぜひ訪れてみてほしい場所です。
日本は今とても暑いです。
いよいよ帰国ですね。いつも見ていたのですが、あまり書き込みしていませんでした。写真が綺麗で、更新されるのをいつも期待しておりました。特に、「氷の河」と「お寺の舞踊」が印象に残っております。
明日、オリンピックの開会式で、キャンドルライティング、デモなどが続きます。
帰ってきたらまたお会いできることを楽しみにしています。
>三好光晴さん
ご無沙汰してます。奥様ともども、お元気ですか? チャダル(氷の河)、気に入っていただけて何よりです。文字通り命がけで撮影した甲斐がありました(笑)。
レーの街では今日、チベット人を中心にした大規模なデモがありました。僕もチベット国旗Tシャツを着て、しっかり参加してきましたよ(笑)。
わたしも8月9日の在日チベット人でもにはチベット国旗Tシャツで参加します。:)