チベタン・ピースマーチ・イン・ラダック

えーと、今、たしかどこかの国の澱んだ空気の首都で、オリンピックとやらをやってるんでしたっけ?

‥‥代表選手の方々には悪いですが、正直、全然興味ありません。人間の尊厳や生命を踏みにじって平然としているような国が、平和の祭典なんて、ちゃんちゃらおかしい。

そんな世界中から白い目で見られている北京五輪が開幕した8月8日、ラダックのレーでは亡命チベット人たちを中心にした大規模なピースマーチが行われました。集まった人の数は、ざっと1000人くらいはいたでしょうか。周辺部を含めたレーの街の全人口が3万人足らずですから、それを考えるとかなりの数です。

朝9時、ソナム・ナルブー病院のあたりから出発したピースマーチは、坂を上ってバススタンド前を過ぎ、沿道で大勢の人々が見守るメイン・バザールへ。ジョカンを回り、ポログラウンドまで行進した後、サーズ・リンポチェをはじめとする偉い方々のお話を伺ってから解散。

参加者のほとんどがチベット人だったこともあって、ピースマーチの迫力は鬼気迫るものがありました。日本で手伝ったピースマーチとは、根本的に何かが違う。怒りと悲しみ、やりきれなさ、そんな感情がないまぜになっていて、一緒に歩いていても胸が痛くなりました。

日本の人々の多くは、もうチベットのことをずいぶん忘れかけているのではないかと思います。でもチベットの人々は、50年近く前に国を追われて以来、ずっと叫び続けてきました。その叫びに耳を塞ぐことは簡単です。でも、開会式がどうだったとか、誰がメダルを取ったとか騒ぐ前に、もう一度、耳を傾けてみてはくれませんか? 自分たちの国で、自分たちらしく生きたい、ただそれだけの当たり前の希望に。

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