写真は、スピティのダンカル・ゴンパの全景。刃のように鋭い岩山の上に屹立する、とても古くからあるゴンパです。
ラダックは今、ダライ・ラマ法王によるカーラチャクラ灌頂ですごく盛り上がっているみたいですね〜。昨日は法王様のお誕生日でしたし、僕の知っている人たちも大勢ラダックに滞在中だそうで、何だかうらやましいです。
そういう僕は東京で、新刊「撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち」の最後の仕上げに取り組んでいました。今日の昼、印刷前の最後の打ち合わせが終わり、全ページ校了。これから印刷と製本の作業を経て、今月末には、いよいよ書店の店頭に本が並びます。
今の正直な感想は‥‥長かった、ですかね。とにかく長かった‥‥。この企画を発案して出版社との交渉を始めたのは、2012年の秋。そこから企画が正式に承認されるまで一年以上、制作が始まってからさらに半年。その間を耐え抜くのは、精神的に相当きつかったです。本を作る作業そのものより、本を作るための環境を整える方がずっと大変で、正直、もう投げ出してしまおうかと思ったことも何度かありました。この本に関わってくれたたくさんの方々の支えがなければ、とっくにあきらめていたかもしれません。それくらい、苦しみ抜いた日々でした。
そんな中で自分自身に言い聞かせていたのは、とにかく、今の自分に作れる一番いい本を作る、ということ。予算の制約など世知辛い事情がある中でも、編集者として、ライターとして、自分のベストを尽くす。その点に関しては、徹底的にやり抜いたと言い切れる自信はあります。
旅の最中に写真なんて撮らなくても、旅は楽しめるのかもしれません。でも、旅の中で心が動いた風景や人々、出来事の一つひとつを写真に収めていくと、旅の経験はもっと深く、豊かに広がっていくと僕は思っています。そういう旅のあり方、僕がもっとも大切にしている旅のかたちをストレートに伝えたくて、旅を主戦場にする写真家の方々の協力を得て作り上げたのが、この「撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち」。この本に収められているのは、それぞれの旅人たちが目にした世界と、彼らの旅そのものの記憶なのだと思います。
旅が好きで、写真が好きで、それがどんどんこじれてしまいそうな人へ。あともう少しで、僕たちの本をお届けします。
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