スムダ・チュンは、下ラダックのザンスカール川沿いのスムダ・ドゥという村から、山道を歩いて二時間ほど登ったところにある村です。岩山の中腹にあるこぢんまりとしたゴンパのほかは、数軒の民家とわずかな麦畑があるだけの小さな村ですが、ここには、チベット仏教美術の至宝ともいえる存在が眠っているのです。
ドゥカン(本堂)に祀られている、本尊ナンパ・ナンツァをはじめとする五如来を取り囲む無数の菩薩たち。精緻な装飾に彩られた彫刻がこれでもかという密度で集約されていて、圧倒的な迫力を感じます。
本尊の足元には、こんなちょっとコケティッシュな動物たちも。見ていて飽きることがありません。本堂の左右にも、高さ数メートルのチャンパとチェンレジの仏像が配されています。
このスムダ・チュン・ゴンパは、アルチ・チョスコル・ゴンパやマンギュ・ゴンパと同じ11世紀頃に建立されたもので、仏像や壁画の様式にも、それらに共通する独特のなまめかしさが感じられます。残念ながら、本堂の壁画の三分の二は後世に描き加えられたものですが、それでも今なお残るオリジナルの仏像と壁画は、見応え十分です。僕が今までラダックで見てきた中でも五本の指に入る、素晴らしい仏教美術が残るゴンパだと思います。
おひさしぶりです。
すごい彫刻ですね。密度が高くて想像力豊かで、大好きです。