「ラダックの風息 空の果てで暮らした日々」が発売されてから、二カ月ほどが経ちました。この二カ月というのは、本当にめまぐるしい日々で‥‥写真展に新聞の書評、ラジオ番組の取材に数々のイベントと、ほとんど経験したこともないような出来事の連続で、何がいったいどうなっているのか、わけもわからず、頭がくらくらするような思いでした。本を一冊出しただけで、こんなにもいろんなことが起こるとは‥‥。
‥‥じゃあ、肝心の本が売れているかというと、まあその、ぼちぼちといった感じで(苦笑)、関係者一同は「もっとバンバン景気よく売れてくれ〜!」と願っているところなんですけどね。何しろ、インドの山奥についての本ですから。
まあ、そんな経験をしたことで、あらためて考えさせられたこともありました。
この本に取り組んでいた二年間、僕はただ「いい本を作る」ということしか考えていませんでした。ラダックに対する自分のありったけの思いをぶちこんだ、最高の本を作る。僕にとってはそれがゴール、それがすべてで、本を出せたら後はもうどうなってもいい、とさえ考えていたような気がします。
でも、このブログへのコメントやメール、直筆のお手紙などを通じて本当にたくさんの方から読後の感想をいただいたり、写真展やイベントの会場でお会いした読者の方と話をさせていただいたり、僕が拙いサインをさせていただくのを目を輝かせながら待ってくださる方にお会いしたりしているうちに‥‥気づきました。
「ラダックの風息」はゴールではなく、むしろ始まりに過ぎなかったのではないか、と。
日本でまた以前のように雑誌の編集・ライターとして日銭を稼ぎながらつつがなく暮らしていくことは、(この不景気で結構きついですけど)ある意味、楽な選択肢です。でも、自分が作った本を面白いと思ってくれる人がいるのなら、次の本を楽しみにしてくれている人がいるのなら、その期待に全力で応えようとするのが本当のプロだと思うのです。
取材にかかる労力やお金を考えれば、本当に割に合わない選択です(苦笑)。でも僕は、自分が大切にしていることをとことん突き詰めながら、読者の方にも喜んでもらえるような本を作りたい。そういう仕事を、一冊、一冊、地道に積み重ねていくことが、僕が選んだ道であり、今の自分に求められていることなのだ、と。
今年はすでに、ラダックとは関係ない別の本の執筆にかかりきりになっていて、財政的にもしばらくは厳しい状態が続きそうなので、いつ、どんな形でとは言えませんが‥‥。
でも、約束します。いつかまた、必ず、ラダックの本を書くと。
初めまして!
ラダックに居られた頃から、時々こちらを拝見しております。
「ラダックの風息」の本、素敵でした。
(感想をブログに載せたのですが、発売からかなり経ってしまって、トラックバックを送るものか迷ったので、ご挨拶に寄らせて頂きました)
ブログも楽しいですが、本になると、好きな雪山やチャムの写真をゆっくり見られるのが嬉しかったです。
ありがとうございました。
また、新しい本を楽しみにお待ちしておりますね!
>りんかさん
コメントありがとうございます。本、お楽しみいただけたようで何よりです。リンク先のブログの感想も拝見させていただきました。うれしかったです。
いつになるかまだわかりませんが、また必ず、ラダックの本を作りたいと思います。アイデアはあるんですけど、お金がないので(笑)、もうしばらくかかりそうですが。