ストク グル・ツェチュ

ストク グル・ツェチュ

2月15日と16日、上ラダック(トゥ)のストク・ゴンパで、グル・ツェチュと呼ばれるチャム(仮面舞踊)の祭りが行われました。ちなみに、一般の観光客がよく訪れる現在博物館になっている建物は、ストク・カルという王宮で、ゴンパではありません。ストク・ゴンパはそこから1キロほど奥に行ったところにあります。

ツェチュというのはグル・リンポチェにまつわる事蹟を記念する祭りなので、へミスやタクトクのツェチュのようにグル・ツェンギェ(グル・リンポチェの八変化)が登場すると予想していたのですが、初日に行われたチャムは、このゴンパを管轄するスピトク・ゴンパのグストルの簡略版といった印象で、内容はそちらによく似ていました。

ストクの祭りの見どころは、チャムよりもむしろラバ(シャーマン)かもしれません。初日のチャムの終盤、ゴンパの屋根の上に2人のラバが登場し、「キキソソラギャロー!(神に栄光あれ!)」と叫ぶと、観衆は一気にヒートアップ。このラバたちがどのようなラー(神)を召還したのかは現地で確認できなかったのですが、パンデン・ラモ(吉祥天女)やドルジェ・ジッチェ(金剛畏怖)の仮面と踊っていたことを考えると、彼らを呼び寄せたのかもしれません。

この後、2人のラバはきらびやかな衣装に身を包み、「オーッ! アーッ!」と奇怪なうめき声を上げながら境内や屋根の上を走り回り、手にした剣でゴンパの壁や手すりに切りつけては刃を舌でベロベロなめるなど、かなりイッちゃってる感じの状態でした。その様子を何としても写真に撮りたかったのですが、「今は写真を撮っちゃダメだよ! ラバに叩かれるよ!」と周囲のおばちゃんたちに諌められ、僕は泣く泣くカメラをしまっておとなしく見物していたのでした。

祭りの2日目はチャムではなく、ラバにまつわるセレモニーだけが行われました。再び屋根の上に登場したラバの胸には、聖なる鏡が輝いています。ちなみに、この寒い折に彼らの足は裸足です。大変だ。

ゴンパの外にある一本のタルボチェの前には、大きなトルマ(ツァンパで作ったお供え物)があり、周囲を大勢の見物客が取り囲んでいました。近くに薪も用意されているところを見ると、トルマソル(トルマを火に投じる儀式)が行われるのかもしれません。

‥‥と思いきや、2人のラバがタルボチェのところまでやってくると、いきなりトルマを粉々に壊して、周囲に向かってばらまきはじめました。予想外の展開。トルマの破片を手に入れようと、人々が群がります。手に入れるとご利益があるみたいですね。

祈りを捧げる人々に剣をふりかざして喝を入れるラバ。それにしても、切っ先があぶなっかしくてハラハラします。

この後、2人のラバはゴンパに引き返すと、境内に面した小堂に飛び込み、憑依を脱しました。ブログの写真ではうまく伝わらなくて申し訳ないのですが、ストクのラバの儀式は、シェイやティクセの祭りで目にしたそれとは少し違う、とてもエキサイティングなものだったと思います。大勢の人々が畏怖を感じながらラバの一挙手一投足に注目していたのも興味深かったですね。

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