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ラダック・バブルとインド軍

ここ数年のラダックは、「バブル」と言っていいくらいの好景気に湧いています。あらゆる人が裕福になっているわけではないのですが、ある程度の元手や学歴、そしてコネクションがある人は、「どんな商売をやっても成功する」と思えるほど景気がいい状態なのだそうです。

こう書くと、「ああ、観光客がたくさん来るようになったからだな」と思う人も多いかもしれませんが、実は、観光業による経済効果は、今回の好景気のごく一部でしかないそうです。もっとも大きな要因となっているのは、インド政府とインド軍によるさまざまな需要の増加です。

ラダックがあるジャンムー・カシミール州は、西側をパキスタンに、北東側を中国に接していて、多くの部分で国境が未確定となっています。特に最近、この未確定の国境付近で中国軍が大幅に増強され、インド側を窺う動きが活発化しているのです。そのためインド政府は、ラダック地方に駐留するインド軍を現在の倍程度に増強することを決定。軍隊を増強するといっても、ただ兵士と武器を運んでくればいいというわけではありません。軍を維持するには、兵士が駐留するための施設や、食糧などを運搬する補給道路の整備が不可欠。そういったことに関連するさまざまな設備投資の需要が、今、ラダックになだれ込んでいるのです。

のどかで平和な場所以外の何物でもないイメージのラダックにインド軍が今の倍も増派されるということには、否定的な感情を抱かれる方もいるかもしれません。しかし、第二次世界大戦後、非常に微妙な位置にあるラダックが昔ながらのチベット文化圏として生き残ってこれたのは、中国でもなく、パキスタンでもなく、インドに属していたからだということもまた事実です。実際、ラダック人とインド軍は、ずっと以前から密接な関係を築いてきましたから。

僕自身、ラダックに駐留するインド軍がこれ以上増えたり、それに伴う開発の手がさらに入ったりすることには、必ずしも肯定的ではありません。ただ、インド軍が手をこまねいていれば、ラダックは、国境を越えて侵入してきた中国の軍隊に好きなように蹂躙されかねない危険な状況に陥ります。チベット本土のように‥‥。単純に異論を唱えればいいわけではないので、本当に難しい問題ですね。

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