自分の役割

ラダックではここ数日、八月上旬のぐずついた天気が嘘のような快晴が続いています。空にも、風にも、少しずつ、秋の気配が混じってきていますね。あと一カ月もすれば、ポプラもすっかり黄葉して、そしてあっけなく散ってしまうことでしょう。

約二カ月半の予定だったラダックでの滞在も、いよいよ終わりが近づいてきました。明日の朝の飛行機でデリーに飛び、翌々日の朝には東京に戻る予定です。

今年の滞在を振り返ってみると……まさに「激動の日々」といった印象でした。ラダックに来る前、楽しいことばかりでなく、苦しいことや悲しいこともあるだろうと思ってはいましたが、今回の洪水の影響で、まさか、ここまでたくさんの悲しい場面を目の当たりにするとは、正直、想像すらしていませんでした。

でも、ラダックの人々にとってもっとも困難な時期に、自分という人間が居合わせたのは、何かのめぐり合わせなのかもしれない。今はそう感じています。

僕はこれまで、ラダックという場所で、これ以上ないほど幸せな、かけがえのない時間を過ごさせてもらってきたのだと思います。そして、(あえておこがましい言い方をすれば)僕のようなやり方でそうした時間を体験した人間は、おそらく他にほとんどいないだろうとも思います。だから僕は、自分が過ごしてきたラダックでのかけがえのない時間のことを、文章や写真によって、一人でも多くの人に伝えなければならない。それはたぶん、仕事でもなく、義務でもなく、僕という人間に与えられた役割のようなものなのでしょう。たとえ、時にやりきれないほど悲しい出来事を伝えなければならないとしても。

いい時も、悪い時も、ラダックのことを見つめ、伝え続けていく。これからも僕は、そうした自分の役割を果たし続けていこうと思っています。

日本に帰ったら、ラダック関連でやろうと思っていることがたくさんあります。まず、10月中旬頃からは、東京でラダックをテーマにした写真展を開催しようと考えています。写真展の会場では、ジュレーラダックと共同で、洪水の被災者を支援するための義援金を募集させていただく予定です。この件に関しては、詳細が決まり次第お知らせしますので、今しばらくお待ちください。

さて、ラダックの人々に帰国前のあいさつ回りをしてこなければ。きっと、前と同じように「あ、そう。で、いつ戻ってくるの?」と、軽い調子で言われるのだろうな(笑)。

2件のコメント

はじめまして!リトルスターレストランで写真を拝見し、本を購入し、ここへたどり着きました。
ラダック滞在記、とても興味深く拝見させていただいています。
そこへ行ってはいないけれど、ラダックの風を少し感じられました。
ありがとうございます。
「懐かしい未来」を読み、友人から話を聞き、ヘレナさんの話も聞きにいきました。
帰国してからの発信、楽しみにしています。
実は、わたしも編集者です。(@武蔵野市)
何かお手伝いできることがあれば…ぜひさせてください。

>meiさん
はじめまして。コメントありがとうございます。同じ武蔵野市民の同業者の方からの応援、心強い限りですw おそらくまたリトスタで写真展をやることになると思いますので、その際はまたよろしくお願いいたします。

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