洪水被災地のフォトレポートの後半は、ラダックの中でも一番被害が大きかった、レー近郊のチョグラムサルを中心にご紹介します。
レーからチョグラムサルへと続く街道を下っていくと、「もっとも甚大な被害を受けた被災者のエリア」という旨の横断幕が張られていました。しばらく進むと、アスファルトで舗装された街道はいつのまにか土砂に埋もれてしまいました。
一番被害が大きかったあたりには、土石流に流されてきた巨大な岩がごろごろと転がり、今までなかったところに新しい川までできてしまっていました。一人の女性が、その新しい川で鍋や皿を洗っていました。
北東のサブーという村のさらに上流で発生した土石流は、サブーを通り抜けた後、遥か彼方のこのチョグラムサルにまで押し寄せ、町のど真ん中を斜めに横切っていきました。
土石流によって破壊され尽くされた家並。洪水発生直後、このあたりには数多くの犠牲者の遺体が横たわっていたそうです。
この土石流の前には、こうした軽自動車などはひとたまりもなかったことでしょう。
大量の泥によって、窓の半ばまで埋もれてしまった家々が、そこらじゅうにありました。
街道脇には、道路上から除去された土砂や流木が積み上げられていました。商店のシャッターも、押し寄せた土砂の圧力で紙のようにへしゃげていました。
大きなトラックの運転席部分も、ほとんど原型を止めないほどぼろぼろになってしまっています。
僕が撮影に行っていた時、ドゥクチェン・リンポチェが被災地の視察に来ていて、もっとも被害が大きかったエリアや現地の病院などを訪れていました。
埋もれた車を引き上げているインド軍のクレーン。今回の洪水では、被災者の救助や各地で損壊した橋の復旧など、インド軍の活動が大きな助けとなりました。
あと一カ月もすれば、ラダックには長く厳しい冬が訪れます。インド政府や各団体からの支援は今も継続されていますが、特に地方の山間部の村で被災した人々までには、情報不足のために十分な支援が届いていないと言われています。今後は現地でのさらなる情報収集とともに、弱い立場の人々への的確な支援が必要になってくると思います。