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僕がラダックに行く理由

初めてラダックを訪れたのは、2000年9月のことでした。

マナリからレーに向かう1泊2日の長距離バスに乗った僕は、初日の宿泊地だったセルチュ近くのテントハウスで、ものの見事に高山病を発症。こめかみにラジオペンチをねじこまれるようなひどい頭痛と吐き気に苛まれながら、僕はぐったりとなってバスの座席に揺られていました。

「‥‥ゴンパ(僧院)だ!」

と、小さく叫んだ誰かの声に顔を上げると、左側の窓から、岩山の上にそびえるスタクナ・ゴンパがちらっと見えました。「あれがゴンパというものか‥‥」とぼんやり思っていたら、やがて前方に、ティクセ・ゴンパの勇壮で美しい姿が。あの時の、全身が震えるような感覚は忘れられません。

たぶん僕はあの瞬間に、ラダックという土地に恋をしてしまったのだと思います(笑)。だからその1週間後にラダックを去る時も、「僕は必ずここに戻ってくる」という、確信に近い予感がありました。そしてその思いは数年の時が過ぎても薄れることはなく、2005年の冬、2006年の春、と再訪を重ねるうちに、ますます強くなっていきました。

これ以上ないほど苛烈で、でも美しい自然。信仰というものの奥深さ。そして何よりも、この土地で生きる人々の屈託のない笑顔。

ラダックのことを、もっと知りたい。そして、一人の物書きのはしくれとして、それを誰かに伝えたい。でも、どうすればそれができる?

僕が出した結論は、「時間をかける」ということでした。

日本での仕事の合間にチョコチョコと通うくらいでは、全然時間が足りないし、底の浅いものになってしまいかねません。季節の移り変わりを肌で感じながら、納得がいくまで時間をかけて、いろんな場所を見て回り、いろんな人に話を聞きたい。そうしなければ、自分の目指すものは書けないと思ったのです。

ラダックで暮らすために、日本でのフリーライターとしての仕事をすべて休止する。端から見れば酔狂としか言いようがないでしょう。たとえ本を上梓できたところで、金銭的には赤字確実(笑)。でも、僕にとっては、自分が本当に書きたいことを書かないで帳尻合わせの人生を送る方が、我慢できなかったのです。

というわけで僕は、しばらくラダックに滞在することを決めました。ヴィザの再取得やデジカメの撮影データのバックアップ、装備の入れ替えなどの関係で、半年に一度くらいのペースで日本に一時帰国する予定ですが、現地での滞在期間は、足かけ1年か、2年くらいになると思います。

その間音信不通になってしまうのは簡単ですが(笑)、せっかくのいい機会なので、現地のサイバーカフェからこのブログを更新してみることにしました。1時間100ルピーの料金を気にしながらの更新になるため、日記のクオリティにはあまり期待せずに、温かい目で見守っていただけるとうれしいです。

本格的な更新は2007年5月中旬からになるので、しばらくはプレオープン状態となります。その間は、このブログの右のサイドバーに「About Ladakh」としてまとめたラダックについての基本情報のほか、写真展などについての情報をお伝えしていければと思っています。

9件のコメント

ラダックファンの1人として、ブログ楽しみにしています。
ご自身にとっても、みんなにとっても実りのあるものになると願っております。
正直、羨ましいです。

>佐々木瞬さん
さっそくコメントいただきましてありがとうございます。どのくらい更新できるやらわかりませんが(ヒマラヤン・サイバーカフェ次第ですw)、現地のいろんな話題をお伝えできればと思います。

突然、失礼します。 ex.まほろばの者です。
リトスタのHPを見て、あっ!とおもわずメールしました。
昨年、私の友人もラダックを訪ねてます。
で、実は以前、国際フォーラムでの砂曼荼羅の時、
会場でお見かけしたことがあり、少々気にはなっていたのですが・・。
行かれるのですね、素敵ですね。
では。

>kai kazueさん
こんにちは。びっくりしました(笑)。いつもおいしい珈琲豆をありがとうございます。
ラダック、最近人気なんですかね。僕の知人の女性も昨年の夏にラダックに行ったのですが、その時現地で知り合った日本人の女性がリトルスターのお客さんだったという、世間はものすごく狭いということを証明するエピソードを教えてくれました(笑)。
砂曼荼羅にも行かれたのですね。今年はゴールデンウイークに、護国寺で砂曼荼羅やチャム(仮面舞踊)の催しがあるそうです。僕はたぶん会場でボランティア的なことをやっていると思います。お時間があるようでしたら、ぜひ!

ラダック いいですよね〜
とくに、冬の季節が好きです。
取材、ご苦労が多いと思いますが…
期待してます!
僕も、今年の夏から秋にかけて、久しぶりに、ザンスカールへ行く予定です。
あの土地は、不思議と、人をひきつける何かががあるんですよね〜

>himarayaさん
ありがとうございます! himarayaさんにそう言っていただけると何よりうれしいです。励みになります。
僕も去年の冬にラダックに行ったのですが、冬の方がラダックらしいという印象を受けました。耳がちぎれそうなくらい寒いのに、不思議と居心地がいいというか‥‥。
もしかしたら僕も、8〜9月くらいにザンスカールに行くかもしれません。レー・ジョカンにいらっしゃるリンシェ出身のお坊さんに、「一度うちの村に来なさい」と言われているので、行ってみたいなと(笑)。LEDeGやISECが企画しているファームステイもちょっと試してみたいと思っているので、その日程にもよるんですが‥‥。
いずれにしても、向こうでお会いできるかもしれないですね。僕の近況はここやmixiで逐次報告していくつもりですので、よかったらまたご連絡ください。

はじめまして、7月7日にISEC代表者のヘレナに東京で出会い初めてラダックの事を知りました。来年からインドに留学するのでヘレナの勧めもあり来年あたりラダックに行く予定です。女性連合のサポートを現地ではしようと思っています。ブログこれからはちょくちょく拝見させてください。楽しみにしています。

>keivanさん
コメントありがとうございます。そういう目的でしたら、こちらに来られたら、ラダック尼僧協会のアニ・パルモさんに会うことをお勧めします。尼僧でありアムチー(医師)でもある彼女は、尼僧の教育環境の改善などに尽力されている方です。僕も昨日お会いしましたが、とてもパワフルな方でしたよ。

世界仏教徒会議に参加するため、インド・ラダックより、ラダック尼僧協会会長として社会的に弱い立場にある尼僧の地位向上に努めるかたわら、チベット伝統医としても活躍するツェリン・パルモ師が来日されます。この機会を活かして、ラダック尼僧協会が中心となり、アーユスを窓口として各地で講演会を開催いたします。ご関心のある方はラダック尼僧協会、アーユス内担当佐藤までお申し込みお問い合わせください。取り急ぎ、HPを送ります。http://members3.jcom.home.ne.jp/ladakh_nuns/

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