2022年のラダックツアーの予定について

今年の春頃から、インドの観光ヴィザの発給が再開し、日本とインドの間の国際線の定期運行も復活しました。出入国の際のPCR検査など、まだ面倒なプロセスも残ってはいますが、今年の夏以降にインドを訪れる計画を考えている人も、増えてきているのではないかと思います。僕のところにも「今年はラダックでツアーをやらないんですか?」という問い合わせを、ちらほらいただくようになりました。

僕も今年の初め頃から、旅行会社とずっと協議をしてきたのですが、少なくとも今年は、ラダックでのツアーの企画・催行はしない予定です。

予断を許さないウクライナ情勢や、燃油高による航空料金の高騰など、理由はいくつかあるのですが、一番大きな理由は、やはりコロナ禍が収束しきっていないことです。日本国内では、今も1日に4万人近くの新規感染者が出ています。インドはそれよりも少ないですが、人々がすっかりノーマスク状態になっているので、再拡大する可能性もないとは言えません。

ラダックでグループツアーを催行する場合、参加者の方々には、4、5人乗りの車に分乗してもらったり、10人乗りくらいの小型バスに乗っていただいたりします。その車で1日に10時間以上も移動することもあり、その間、参加者の方々は同じ密閉空間に居続けることになります。誰か1人が感染していたら、同乗者全員に広がる可能性があります。

レーのように大きな病院のある街を拠点にしていれば、症状が出た時点ですぐに検査して、酸素吸入などの措置を受けられます。でも、ラダックのツアーで回る地域は、そういう病院のない地域がほとんどです。加えて、ラダックは標高が3500メートル以上あって酸素濃度が薄いので、発症した際にすぐ適切な処置を受けられないと、症状が悪化するリスクが平地より高くなります。

仮に、自分が今年ラダックでガイドを務めると想定して、もし、ツアー中に複数の参加者がコロナを発症してしまったら、絶対確実に安全な対応ができるかどうかを考えると、正直かなり難しいという結論に達しました。感染という要素があるので、高山病対策よりはるかに難しいです。たとえ、3回のワクチン接種を終えていたとしても、運転手やガイドも含め、ツアー中に毎日ずっと同じ車内に居続けたら、ブレークスルー感染のリスクは避けられないと思います。

ツアーを企画・催行する上で、何よりも大切なのは、やっぱり「安全」です。そこは絶対におろそかにしないようにしなければ、と思っています。

なので、自分の業務を否定するわけではないのですが(苦笑)、今年の夏以降にラダック方面への旅行を考えている方は、しっかりワクチンを3回打ち終わった後、個人手配で、1人か、もしくはできるだけ少人数で行くのをおすすめします。僻地での滞在期間も、できれば短めに抑えて。普段の日常でも旅先でも、大人数での団体行動は、まだ避けた方が無難なのは間違いありません。

僕自身も、そのつもりで今後の予定を考えています。みなさんも気をつけて。

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