今回はちょっと奮発して、チャダルを旅した時に撮影した写真のうち、まだ未公開のものを、どーんとご紹介しようと思います。眺めているだけで寒々としてくる光景の数々をご覧ください。
それにしても、寒かったなあ、チャダルは‥‥。
ツルツルに滑る氷の上をへっぴり腰で歩いている僕を振り返って笑っている、パドマ・ドルジェ。チャダルを知り尽くした彼が常に前を歩いているという安心感は、本当に心強いものでした。
チャダルの道程の途中には、一度見たら忘れられないような特徴的な形の岩山があちこちにあります。この川辺から見える岩山も、よく憶えている光景の一つです。
本の中でも触れたましたが、僕が旅した前の年に一人のザンスカール人男性が亡くなったのは、たしかこの付近だったと思います。氷の裂け目の下を、黒い水がゴボゴボと音を立てて流れていました。
ザンラからストンデに向かう途中ですれ違ったおじさん。ヘタレな僕よりはるかに早いスピードで、膝の下まで埋もれる雪の中をざくざく歩いていきました。
時々、こういうやっかいな場所に出くわします。こうなると、背中からザックを下ろして、腹ばいになって匍匐前進で抜けるしかありません‥‥。すぐ脇には轟々と流れる水。肝を冷やしました。
マイナス三十度にまで冷え込んだ朝。凍りついた木々を横目に先を急ぎます。
飛沫を上げたまま凍りついた滝。恐ろしく非現実的な光景です‥‥。
ある朝、朝食の支度をしていた僕たちのところに、氷の状態が悪いところを抜けてきた一団がやってきました。濡れて凍りついた靴や靴下を、火にかざして乾かしています。
終点のグル・ドに到着する前の日に撮った一枚。この頃になると、疲れからか油断からか、僕もよく滑ってコケるようになり、その度にパドマに笑われてましたね。
「タカ! お前、またチャダルに戻ってこい!」と、ロブザン・トゥンドゥプは僕に言いました。その時は正直、「いや、さすがにこんなに大変なのは、もう‥‥」と思っていたのですが、最近、あの氷の世界を旅した時のことを、どこか懐かしく感じています。チャダルには、そんな不思議な魅力があるのかもしれません。
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