必要なのは「自信」ではなく「覚悟」

上の写真は、ザンスカール、バルダン・ゴンパの本堂内にある、曼荼羅の壁画。

去年の7月に実施した取材ツアーから始まった、6人の写真家によるラダック写真集「LADAKH LADAKH」のプロジェクト。本の発売、東京と大阪でのトークイベント、そして吉祥寺での合同写真展が終了し、プロジェクトとしては一区切りついた形となりました。トークイベントや写真展に足を運んでくださった方々、本を購入してくださった方々、本当にありがとうございました。「LADAKH LADAKH」自体はまだまだ発売中ですので、ご興味のある方はぜひ。

今回のプロジェクトでは、イベントでの設営や物販などで、大勢の方々にサポートしていただきました。その中には、写真家の道を志しているという若者(と書くと自分がおっさんなのが丸わかりですが、笑)もいて、プロジェクトに参加した写真家の方々から、いろんなことを学ぼうとしていました。

僕自身は、物書きと写真と編集という三足のわらじを履くようになって10年ほど経ちますが、そうした若者たちの手本にはとてもなれそうにないなあ、と思っています。俺のようになるな、とは確実に言えると思いますが(笑)。自分自身の能力にも実績にも、いまだに何の自信も持てていません。ただ、端くれながらもこの業界でどうにか生き延びてきた人間として、一つ伝えられることはあるかな、とは思います。

プロの写真家、物書き、あるいは編集者として必要なのは、「自信」を持つことではない、と僕は思っています。自分の能力や実績に対する「自信」は、ともすると過信となり、油断や慢心、周囲への無配慮につながってしまうからです。

必要なのは、「自信」ではなく「覚悟」。

自分が撮ったり書いたりしようとしている物事や人々の思いを受け止め、その思いを形にするためにベストを尽くし、それを世間に発表する時には、たとえどのような批判をされようとも、甘んじて受ける。一度引き受けた仕事は、どんな困難に出くわしても絶対に投げ出さない。そういう「覚悟」のない人は、どれだけ才能に恵まれていたとしても、プロとしてのスタートラインに立つ資格はないんじゃないかな、と僕は思います。

僕の仕事、特に編集者という立場での仕事は、取材させていただく相手や制作スタッフ、流通から販売に至るさまざまな関係者、そして読者と、たくさんの方々からの思いをお預かりして、それらを本という形に綴じていく仕事です。思いを受け止める立場としての「覚悟」を、自分自身、これからも忘れないようにしたいと思っています。

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