ザンスカールからラダックへ(後編)

ハヌマ・ラを越えて数時間後、僕はリンシェの村に辿り着きました。麦の刈り取りはほとんど終わっていましたが、それでもところどころで、黄金色の麦畑がさらさらと風にそよいでいました。リンシェ、本当に美しい村です。

家畜に食べさせる草の刈り取りをしている村人たち。驚いたことに、「あんた、四年前にこの村に来て、その後、村に写真を送ってくれただろ?」と、僕のことを憶えていてくれた人もいました。本当にうれしかったです。

遅いおひるに、マサラ味のごはんを食べている子供たち。労働力としてはあてにならないですねー(笑)。

「えっ、私の写真を撮るの? えーどうしようどうしよう、恥ずかしいなー、うーん‥‥いいわ! わかった、撮って!」と、さんざん恥ずかしがった末に写真を撮らせてくれた若奥様。

がっしがっしと、草刈りに精を出していたおじさん。カッコイイ。

こういうカワイイ女の子を撮らせてもらうことに成功すると、単純な僕としてはすっかり満足してしまいます(笑)。

その日の夜、リンシェでは二時間ほど、激しい雷雨が降りました。去年の夏にカルナクで遭遇した豪雨に比べれば全然大したことはなかったのですが、それでも小さなテントの中で雷鳴と雨音を聞いていたら、あの時の恐怖がまざまざと甦ってきました。

翌朝、峠越えの直前に振り返ってみた、リンシェの村。ここからさらなる峠越えの道が続きます。

キュパ・ラの急斜面を登っている時に撮った、ゴンマという村。村の上だけ雲が切れて、太陽の光がスポットライトのように射し込んでいました。

標高は再び上がり、4000メートルを越えます。足元に生えている草が、紅葉して赤く染まっていました。

標高5000メートルの峠、センゲ・ラの直下にあるベースキャンプにて。獣の牙のような山塊が、射し込んだ西日に照らされていました。

凍えるように寒かったベースキャンプで幕営し、翌朝、センゲ・ラを越えます。頂上の手前で振り返ると、はるか南にあるニラクの村まで見通せました。あそこまで、高低差は2000メートル近くあるはずです。

センゲ・ラを越えてから歩き続けて約五時間後、フォトクサルの村に到着。相変わらずの美しい村でしたが、それでもあちこちに去年の洪水で崩れた崖や、川の増水でえぐられた畑の跡が残っていたのが痛ましかったですね。

フォトクサルの村で、僕は運よくレーに直行するシェアジープを300ルピーで捕まえることに成功したので、翌朝すんなりとレーまで戻ることができました。最初から最後まで幸運に恵まれた、穏やかなトレッキングでした。

2件のコメント

2000年、ハヌマラを超えてリンシェに行きました。忘れられない旅です。また、行きたい!

>小貝 宏さん
コメントありがとうございます。ザンスカール、いつかまたぜひいらっしゃってください。