「素材」への敬意と感謝

時に編集者の立場になる自分自身への戒めも込めて、の話なんだけど。

編集の仕事では、文章や写真、イラストなど、いろんな素材を組み合わせながら、本や雑誌の形に仕上げていく。だが、ともすると編集者は、こうしたものを本当に単なる「素材」としてしか見なさなくなってしまいがちになる。その結果、それらをぞんざいに扱って、ライターや写真家、イラストレーターをすっかり失望させてしまうことも少なくない。

「素材」に問題があるから手を加えたんだ、それが編集者の仕事だ、という人がいるのもわかる。でも、ライターや写真家が憤慨するような扱い方をせざるを得なくなったのなら、ライターや写真家側に手抜かりがあったならともかく、でなければ最初の仕事の発注時点で問題があったからだ、と僕は思う。その場合、編集者はちゃんと謝罪しなければならない。

編集者は、ライター、写真家、イラストレーター、デザイナー、その他のスタッフが提供してくれる成果に対して、常に敬意と感謝を持たなければならない。ライターは一文字一文字に、写真家やイラストレーターは1ピクセルごとに、それぞれの思いを込めている。最終的なゴールを目指していく時、編集者は途中でさまざまな決断を下す必要に迫られるけれど、その中でもけっして、関係するスタッフの気持をうかつに踏みにじるようなことはしてはならないと思う。

常に敬意と感謝を忘れずに。改めて、自分自身への戒めも込めて。

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