僕が初めて出版業界の仕事を経験したのは、大学時代。自主留年して海外を数カ月ほど旅しようと考えていた時、旅費を稼ぐため、学生寮の近くにあった出版社で編集アシスタントのバイトを始めたのがきっかけだった。
最近、フリーライター的な仕事に就くことを志望する人は、Web媒体が募集するライティングの案件に応募するパターンが多いと聞く。確かにそれでも文章を書く仕事の経験を積めなくはないが、そもそものスタート地点から自分一人でこの仕事を覚えるのは、効率が悪いし、たぶんいろいろ抜けてしまう要素も出てくる。Web媒体でまずまず書けていても、紙媒体のメソッドにはうまく対応できなかったという話もよく聞く。原稿をチェックする編集側の質やスキルも、Web媒体は概して甘めなところが多い。
個人的には、ライターの道を志すのであれば、まずは出版社や編集プロダクションで、編集アシスタントのバイトやインターンの経験を積むことを強くおすすめする。編集の仕事に接すると、本や雑誌がどんな風に作られるのか、そこにはどんな意図や工夫が込められているのかを知ることができる。そういう編集者としての感覚は、ライターとしてやっていく上で、ものすごく役に立つ。いろんな場面で機転や応用の効く感覚なのだ。
なので、まずは編アシより始めてみてはどうだろう。もちろん、やるならちゃんとした媒体で働く方が絶対プラスになるのだが、意外とあちこちで募集してるんじゃないかと思う。