背骨も心も折れそうな

来週から、取材でインドに行く。約2カ月間。最近の取材の中では、まあまあ長い。

今週はその準備と荷造りに追われていたのだが、どうにか整った。しかし何というか、正直、ちょっと気が重い面もある。

まず、荷物が、でかくて、重くて、多い。容量100リットルのダッフルバッグと、カメラ2台と150-600mmの望遠レンズその他が詰まったカメラザック、携帯品所持用のショルダーバッグ、ダッフルに入りきらなかったスノーブーツを詰めたトートバッグ。全部担いで歩くだけで、結構な筋トレレベルである。背骨も心も折れそうなくらい重い。

次に、目的地が遠い。羽田から飛行機に乗ってから、目指す場所に着くまで、6日間もかかる。道路事情によっては、さらに足止めを食う可能性もある。

その他はまあ、最初から承知の上なのだが、まともに風呂に入れないとか、洗濯もままならないとか、酒もたぶんほとんど飲めないとか……。

それでもちょっと救いなのは、行く先々で、昔からの現地の友達とか、その知り合いとか、いろんな人がサポートを申し出てくれているということ。それは本当に、ありがたいことだなあと思う。

まずは、安全第一で、無事に取材をやり遂げてくること。その中で、自分が何をなすべきかを考え、実行に移してくること。目の前のものごとをありのままに見つめ、写真に写し取ってくること。くれぐれも油断せず、注意深く、頑張ってこようと思う。

帰国は3月10日の予定です。では、いってきます。

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レアード・ハント『インディアナ、インディアナ』読了。人には見えない「いろんなもの」が見えていた男、ノア。年老いた彼は今、焼け落ちた屋敷の跡に建てられた小屋で、ガラクタにしか見えないものに囲まれて暮らしている。母との記憶、父との記憶、心が壊れた妻からの手紙。過去の記憶の断片が少しずつ重なり合い、ノアのこれまでの人生が立ち現れていく。天衣無縫のようで実は緻密に計算されている構成に驚かされるし、文章も(柴田元幸さんの訳文はもちろん、おそらく原文も間違いなく)リリカルで美しい。

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