競争心というのは、時に強烈なモチベーションとなって、いい結果につながることがある。でも、自分が人より優れていると示したり、人より優れた結果を出したりすること自体が目的になってしまうのは、ちょっと違う気がする。特に、文章や、写真や、本づくりの世界においては。
僕にとっての本づくりの目的は、自分が大切にしていること、伝えたいことを、それを知ってほしいと思っている人に、自分にできる一番いい形で伝えること。そのためだけに、文章を書き、写真を撮り、本という形にして、読者の方に託す。それが、僕にとってのゴール。
自分の作った本が大勢の人に受け入れられれば、もちろんうれしいけれど、それよりも大事なのは、伝えたいと思ったことが、知ってほしいと思っている人にきちんと伝わったかどうか。そこがズレてしまっていたら、何冊売れようが何の意味もない。
そんなことを思いながら、今日も祈るような気持で、赤ボールペンを手にゲラと向き合う。