地方取材

朝から氷雨が降り続く一日。秋をすっ飛ばして、一気に冬になってしまった。でも、週末には台風が来るらしい。地球はいったいどうなってるのやら。

今週は特に急ぎの仕事もなくて、割とのんびり過ごしているのだが、来週からいきなり忙しくなる。火曜日に、徳島県まで取材をしに行くことになった。しかも日帰りで。翌日はラダック写真展会場でのトークイベントがあるので、ついでに観光とかしている暇はない。飛行機で往復とんぼ返り。まあ、それで交通費が出るのだからありがたいけれど。

水曜日はトークイベント。木曜日は都内で取材。金曜日はまだ未確定だけど、埼玉で取材の予定。で、再来週の月曜日は、京都まで取材をしに行くことになりそうだ。自分のキャリアの中でも、短期間にこれだけの地方取材が集中するのは珍しい。

まあ、取材をしたらその原稿を書かなければならないわけだし、例によってスケジュールに余裕はないから、とりあえず、倒れないようにがんばるか。

地デジ化

二日前にネットで注文したテレビが届いた。今まで使っていたテレビは、たしか日韓ワールドカップのあった年に買ったやつだから、かれこれ八年ぶりに買い替えたことになる。

このタイミングで買い替えを決断した理由はいくつかある。画面の上下の黒帯に「アナログ放送はもうすぐ終了するから、早く買い替えな」という字幕がずっと表示され続けるのにうんざりしていたし、エコポイントの支給額が12月から半減してしまうというのもあった。シャープからLEDバックライトを搭載した26V型モデル(LC-26DZ3S)がちょうど出たばかりというのも、理由の一つ。懸案だった古いテレビのリサイクル費用の問題も、昔の職場の後輩が引き取ってくれることになったので、あっさり解決してしまった。

それでも、どちらかというと後ろ向きな理由で買い替えてしまった気分だったのだが、新しいテレビをセッティングして電源をオンにしたとたん、あまりにも鮮烈な映像に、ひっくり返りそうになった。家電量販店の店頭で実機をチェックしてはいたけれど、あらためて自分の部屋で見比べてみると、その画質の差に驚かされる。たとえ映し出されているのがミヤネ屋であっても、だ(笑)。

これは、解像度で三倍以上の性能差があるからだけでなく、アナログ放送と地上デジタル放送のクオリティの差もあるからだろう。実際、アナログモードに切り替えてみると、ぼんやり、もやもやした映像に見えてしまう。伊達に地デジ化を推進していたわけではないのだな、と、今さらながらちょっと感心してしまった。これを見てしまうと、もうアナログには戻れない。

まあでも、女優や女子アナは、日々のお肌のコンディションまで鮮明にモニタリングされることになるわけで、大変だろうなあとは思う(笑)。

自分の番

最近、死について考えることが多くなった。

どんな人間も、いつかは必ず死を迎える。そんなことは、ずっと前からわかりきっていたはずだった。でも、自分自身の死となると、茫洋とした遠い未来の出来事のような気がして、想像することができずにいた。それを、すぐにでも起こりうるリアルな出来事として感じるようになったのは、ここ数年のラダック滞在の中で、死と紙一重の場面に何度か遭遇したからだろう。

凍結した川の上を往くチャダルの旅では、目の前で一人のトレッカーが川に落ちて溺れかけたし、その一年前には、経験豊富なはずのザンスカール人男性が一人亡くなっていた。今年の夏のカルナクの旅では、集中豪雨で増水した濁流に行手を阻まれ、危うく流されてしまうところだった。同じ時、他のもっと易しいはずのルートで、何人ものトレッカーが命を落とした。そして、チョグラムサルをはじめとするラダック各地では、何百人もの人々が土石流に巻き込まれて亡くなった。今も行方不明の人が大勢いる。老人も、若者も、幼い子供も——。

どうして、彼らはあの時、死ななければならなかったのか。なぜ、自分は生き残ったのか。

いつかは必ず、自分の番が来る。病気かもしれないし、事故かもしれないし、もっと他の理由かもしれない。それは四十年後かもしれないし、十年後かもしれないし、明日かもしれない。でも今、自分はとりあえず、神様の気まぐれのおかげで生き残っている。もしかすると、そのことには何かささやかな意味があるのかもしれない。そうだとすると、その意味を活かせるかどうかは、自分自身にかかっている。

「一日々々を大切に生きていく」というのはよく言われることだけど、実はなかなか難しいとも思う。何もかもが自分の思い通りになるわけではない。うまくいかない時もある。サボりたい時だってある。毎日、確実に前に進んでいけるとは限らない。でも、少なくとも、自分が何を目指して進んでいるか、その方向だけはきちんと確かめて、ぶれないようにしなければならないとは思う。

文章を書いたり、写真を撮ったりすることで、それを見た人の心を、ほんの少しでもいいから動かす。それが、僕が選んだ道。そして、何者かが僕に与えた役割。どんな時も、そのことだけは忘れないようにしたい。いつか、自分の番が回ってきたとしても、「ま、仕方ないか」と笑いながらそれを迎えられるように。

Instagram

最近、面白いなと思っているiPhone向けアプリに、Instagramという無料アプリがある。今月初めに配布が始まったばかりなのだが、あっという間に広まって、一躍大人気に。巷では「Twitterの次に流行るサービスの本命はこれだ!」なんて声も聞くほどだ。

簡単に言うと、Instagramは写真共有アプリだ。iPhoneで撮った写真をトイカメラ風フィルタでスクエアフォーマットに加工して、アプリ経由でアクセスできる環境にアップロードする。フォロワーは、それに「Like!」やコメントをつけることができる。非常にシンプルで、必ずしも今までにない斬新なサービスというわけではない。では、なぜ今、こんなに人気なのか?

一つには、基本的にiPhoneだけで完結することを前提に、インターフェイスや仕組みを構築しているという点。Webから移植された従来のサービスに比べると、段違いに使いやすい。フィルタ加工される写真のサイズが612ピクセル四方というのも、それがiPhoneの画面で一番綺麗に表示されるサイズだということを計算しているからだろう(余談だが、Instagramで加工した写真はiPhoneの待受画面にちょうどいい具合に収まる)。いつでも気軽にiPhoneを持ち歩いて、気が向いたら写真を撮って、それを友達と共有する。そうした使い方にジャストフィットしたアプリなのだ。

もう一つは、用意されているトイカメラ風フィルタのクオリティの高さ。トイカメラアプリは過去にもたくさんリリースされているし、僕もCamera Bagというアプリを愛用していたが、それらと比べても、格段にいい。Instagramのフィルタを使うと、別にどうということのない写真でも「何かいい感じ」になってしまうのだ。フィルタの種類もたくさんあるので、写真に合わせていろいろ試して遊ぶことができる。iPhone 4からカメラの基本性能が大幅に向上しているのも、このアプリにプラスに働いていると思う。

TwitterやFlickr、Facebook、Tumblr、Foursquareとの連携機能も用意されていて、Instagramへの投稿をTwitterで知らせたり、Flickrに写真を同時投稿したりすることもできる(僕がFlickrでテストしたギャラリーはこちら)。また、gramjunctionなどのサイトで写真のギャラリーを作るのも面白い。今後はWordPressと連携させるプラグインも出てくるのではないだろうか。というか、出てほしい(笑)。

機種変更

今日はひさしぶりに自転車で遠乗りしようと思っていたのだが、あいにくの曇天。雨になるという予報だったので、あきらめて、新宿に出かけることにした。二年前に買ったiPhone 3Gを、iPhone 4に機種変更しようと思ったのだ。

本当ならアップルストアで購入したかったのだが、一括払いにすると多少はポイントがつくというので、ヨドバシカメラに行く。iPhone 4の在庫はあるということだったので、さっさと手続きしてもらおうと思ったら、店員が妙なことを言いはじめた。なんでも、今、ヨドバシでiPhoneを買う時は、ワイヤレスゲートというWi-Fiサービスへの加入が必須になっているというのだ。

「いや、そんなの必要ないです」と言うと、「とりあえず今は加入していただいて、明日電話で解約してもらってもいいので」という。‥‥そんな手続きに何の意味が? で、差し出された加入手続きの書類には、クレジットカードの番号を書く欄が。「僕、クレジットカード持っていませんよ。今日も一括払いにするつもりで来たし」と伝えると、店員は「あっ‥‥じゃ、これは加入しなくていいです」と、書類を引っ込めてしまった。

‥‥別にたいしたことではないけれど、軽くだまされかけて、軽くバカにされたような気分になった。まあ、しょせんその程度のレベルの店だったということだ。

そんなことはともかく、購入して家に持ち帰ったiPhone 4は、なかなか素敵なデバイスだった。画面表示が段違いに綺麗で、動作速度も圧倒的に速い。今まで使っていたiPhone 3Gは何だったんだと思えるくらい。たった二年間で、テクノロジーはこれだけ進化するものなのか。