十年という月日

昨日は、天王洲アイルの銀河劇場で開催された、羊毛とおはなの結成十周年記念ライブを観に行った。何というか、ものすごくいろんな意味で、いいライブだった。サウンドも演出も、これまでの積み重ねを基にとことん考え抜かれ、作り込まれていて、観客も含めて関わる人々すべての愛情が、じんわりにじみ出ていたように思えた。僕自身、「LIVE IN LIVING ’07」で彼らの音楽に初めて接して以来、折に触れずっと聴いてきたから、昨日のような節目のライブに立ち会えたのは、本当によかった。

十年という月日。ふりかえってみて、自分はどうだったかな、と思う。十年前は‥‥フリーランスのエディトリアル・ライターとして、雑誌を主戦場とした仕事がようやく軌道に乗ってきた頃だった。おかげさまでたくさん仕事をもらえて、毎月かなり忙しくしていたものの、これじゃないんだよな、という思いも漠然と抱えていた。だからといって、十年後、自分が今のような状況になっているとは、まったく想像すらしていなかったけれど。

十年前と今とで、自分はどれだけ変わっただろうか。仕事や生き方の経験値は、少しはたまってきてるかもしれない。自炊も普通にするようになったし(笑)。一番違うと感じるのは‥‥十年前は、自分が伝えたいことは何なのか、見えていなかった。今は、おぼろげながら、見えてきている。しょっちゅう迷ったり、見失いかけたりするけれど。

十年後、僕はどうなっているだろう? その頃はもういい年だから、体調もいいとは限らないだろうし、出版不況が極まったあげく、仕事にあぶれてるかもしれない。そんな先のことは、正直わからない。不安もなくはない。でも、自分が伝えたいことを十年後も見失っていなければ、たぶん、何とかなってるんじゃないかと思う。その時その時、自分にできること、自分がやるべきことを、一つひとつ、積み上げていくしかないのだから。

昨夜のライブの帰り、電車に揺られながら、そんなことを考えていた。

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