オンラインイベントについて思うこと

昨今のコロナ禍の影響で、Zoomなどを利用してオンラインで開催されるイベントが増えてきた。僕自身、『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』の発売に合わせて予定してた刊行記念トークイベントを延期して、開催時期を模索している立場なので、オンラインイベントにはかなり関心を持っていた。

ただ、実際に自分が出演するトークイベントをオンラインで開催するかどうかとなると、少なくとも現時点では、やらないだろうと思う。これまで何度か自分で開催してきた、リアルな場でのトークイベントの面白さや価値を超えられる自信が、正直言って、持てないのだ。

出演者がそれぞれ別の場所にいて、リモートでやりとりして、それをさらにリモートな場所から不特定多数の観客が見ているという状況は、リアルな場でのトークイベントとはかなり別物の体験になると思う。間延びするテンポ、場の空気のつかみづらさ、そういったものをうまく咀嚼して乗り越えていくトーク力が必要になるはずだ。僕はしゃべりのプロではないし、ルックスも人並み以下のただのおっさんだし(苦笑)、いろいろ難しい要素が揃うオンラインで拙いトークを披露して、お代を頂戴できるような価値のある体験を提供できるとは、思えないのだ。

もし、オンラインでやるからには、リアルな場でのトークと同じかそれ以上に面白く、オンラインでやるからこそ意味のある内容のイベントでなければ、少なくとも自分のような人間は手を出すべきではないのでは……と思っている。ある意味、YouTuber的なトークのスキルがなければ、厳しいのではないかな、と。

もちろん、世の中には、お代を払う価値のある、オンラインでこそ実現できる内容のイベントもたくさんあると思う。それぞれとんでもない遠隔地に住んでいる出演者同士が顔を揃えるイベントとか、遠隔地から何かを実況中継しながら展開するイベントとか。でも今のところ、自分の中にはそういう風にフィットしそうなアイデアはない。別の誰かから、よっぽど良いアイデアのご提案をいただいたなら、話は別かもしれないが……うーん、どうなんだろうなあ……。

まあ、僕には、長年使い慣れているもっともシンプルな武器、文章という手段もあるので、何か言いたいことが出てきたら、テキトーにさらさらっと書いて、こんな風にとりとめもなくブログにアップすることにしようと思う。

本気の文章と写真は、もちろん、本にすべて込める。そこがおろそかになっていては、イベントもへったくれもない。

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