夕方、仕事中にネットから流れてきたニュースを見て、おや、と思う。とある事件で逮捕されたという人の名前に、かすかな見覚えが。自分のMacに保存しておいたファイルを検索してみると、同じ名前があった。四年ほど前に、ある仕事で依頼されてインタビューをした人だった。
思い返してみると、あの時は、とてもインタビューとはいえない取材だった。約束の時間から3時間以上も会議室で待たされた後、現れたのは本人ではなく助手か何かの人で、その人が資料を見ながらしゃべるのを、本人が語ったかのように記事にしてくれと言われたのだ。遠路はるばる訪ねてきたのに、ずいぶん軽く扱われたもんだなとその時も思ったのだが、さもありなんというべきか。
それでも当時、依頼元はその記事をものにしてたぶん喜んでいたと思うし、僕も原稿料を受け取った。でも、あの仕事に意味があったのかというと、当時の話の内容と、今回の顛末を考え合わせるに、むなしく感じられてしまうのは否めない。もちろん僕にはどうしようもなかったけれど、この世に何の価値も残さない仕事をしてしまった、という気がしてしまう。
仕事って、難しいな、と思う。