アラスカ(1):ベテルス、フェアバンクス

八月末から二週間ほど、アラスカを旅してきた。本来は、父と母が友人の方々と手配していた旅行だったのだが、昨年父が他界したたため、その代わりに僕が母に付き添う形で参加した。最初で最後の海外団体旅行。いつもの自分の旅のように行動できないもどかしさは少なからず感じたし、現地の人々と知り合う機会もかなり限られてしまったが、それでも、初めて目にしたアラスカの自然の雄大さ、美しさは、まさに圧倒的だった。これから何回かに分けて、アラスカの写真を載せていこうと思う。

シアトル経由でフェアバンクスに入り、そこから双発の小型飛行機に乗ってベテルスという村へ。北極圏の境界線から50キロ北に位置する、人口わずか60人程度の小さな村。オーロラ・ベルトの真下にあり、オーロラ鑑賞の拠点として知られている。村には滑走路のほか、水上飛行機が安全に離発着するための人造湖、フロート・ポンドがある。

風が止むと、湖水は鏡のように空と森を映し出す。アラスカの空には、ほかのどこの場所でも感じたことのない、独特の気配を感じる。淡く透き通っていて、雲が、低く、高く、幾重にも分かれてたなびく。

初めて足を踏み入れた北極圏のツンドラは、ふかっとした苔や地衣類に分厚く覆われていて、びっくりするほど柔らかかった。ひょろりと生えたスプルースの木々の下では、ブルーベリーが秋色に染まっていた。

アスペンや白樺の鮮やかな黄葉が眩しい。北極圏の秋は、あっという間に過ぎ去っていく。あと十日もすれば、すっかり冬模様になっているに違いない。

滑走路のすぐ近くにあるベテルス・ロッジは、1950年に建設され、現在は国の歴史文化財にも指定されている由緒あるロッジ。オーロラ目当ての人のほか、ここを拠点にして、北極圏の扉国立公園を目指す人も多いという。

アラスカでは、サーモンを食っておけばとりあえず間違いないということを学んだ。あと、意外にビールがいける。写真のアラスカン・ホワイトや定番のアラスカン・アンバーは、飲みやすくてなかなかうまかった。

ベテルスに滞在した二日間は、曇りや小雨の時が多かったのだが、初日の真夜中、突如として雲が消え、オーロラが現れた。漆黒の闇に、緑色の光が音もなくゆらゆらとたゆたう。きりきりと冷え込んでくる空気に身を震わせながら、三脚にカメラを据えてレリーズをつけ、露出時間30秒で撮ってみた。

ベテルスを離れてフェアバンクスに戻り、チナ・ホットスプリングスへ。温水プールみたいな温泉の設備は絵に描いたような観光客向けの仕様で、正直、僕はあまりなじめなかった。周囲の森の中を散策していた時の方が愉しかった。

森の中で見かけた、鮮やかな赤い実。これ、食べられる実だったかどうか、あまりよく憶えていない(苦笑)。

フェアバンクスのポンプ・ハウスというレストランで食べた、トナカイのステーキ。アラスカでは野生のカリブーの肉を販売することは禁止されているそうで、これは養殖されたトナカイの肉なのだとか。柔らかくてとてもうまかった。

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