昨日は少しだけ遠出して、鎌倉の天園ハイキングコースというところを歩いてきた。ここは鎌倉アルプスとも呼ばれていて、鎌倉市でもっとも高い、159メートルの大平山に登るルート。あっという間に登れる割には、奥深い森の雰囲気も楽しめる。
スタート地点は、北鎌倉駅。線路沿いで風に揺れるススキが、秋の訪れを知らせていた。
今日は遠出しての取材。三鷹から新宿経由で、小田急線の秦野駅へ。そこからさらにバスに乗って20分。片道で軽く二時間超というのは、さすがにきつい(苦笑)。おまけに、終わった後は都心で別の打ち合わせがある。
そういえば、秦野は、今年の春先、丹沢表尾根を縦走した時に来た駅だ。今日は曇りがちの天気だったので、山の方はよく見えなかったが、それでも、すぐそばまで丹沢の山裾が迫っている場所であることには変わりない。田舎ならではの、どこかのほほんとした雰囲気が、何だか心地よかった。
ひさびさに、日本でのんびり山歩きしてみたいな。小さなリュックに、弁当と水筒を詰めて。‥‥しかしまあ、明日も朝から取材なわけだが。
この間のアラスカ旅行で、二週間の間に二度、オーロラを見た。オーロラ見物が目的のツアーに参加したのに一度も見られなかったという人の話もよく聞くし、同行した僕の母も三度目の北極圏付近への旅行で初めて見たというから、僕は運がよかったのかもしれない。
初めて目にしたオーロラは‥‥今までの人生で目にしてきた、どんなものとも違う領域にある存在だった。雲や雨のように地球の営みに密着した存在でもなく、太陽や星のように宇宙の永遠を感じさせる存在でもない。音ひとつたてず、大気をそよがせもせずに、遥か高空で弾ける光の奔流。とてつもなく巨大で、鮮やかで、激しく、そして儚い。その圧倒的な美しさに、僕は魅入られると同時に、ある種の畏れを感じた。もし、この得体の知れない極光の輝きをずっと眺め続けたら、僕は気が狂ってしまうのではないか、と。
時にオーロラは、空一面に爆発的に広がる「ブレークアップ」という現象を起こすことがあるという。もし、冬のツンドラの中で一人立ち尽くしたまま、そんな凄まじい光景を目にしたら、どんな気持になるのだろうか。
アラスカを発つ前日、南東アラスカの小さな町、ケチカンを訪れた。ハイダ族やトリンギット族など、トーテムポールの文化を持つ先住民族が周辺に数多く暮らしている町だ。ツアー一行とともに訪れたトーテムポール博物館では、各地から蒐集された古いトーテムポールが展示されていた。本当なら、野ざらしのまま朽ちていくべきなのが、トーテムポールなのだけれど。
カトマイでの滞在中、ブルックス・ロッジの日帰りツアーで、一万本の煙の谷(Valley of Ten Thousand Smokes)を訪れた。ロッジからはバスで片道一、二時間ほど。谷に近づくにつれ、次第に周囲の植生が変化し、若々しい木々が多くなっていった。