この間から、奥多摩や丹沢を歩いてみて、やはり日本の山は素晴らしいなあ、と再認識している。
うっすらと霞がかかる山並みの風景はとても美しいし、緑は豊かで、覚えきれないほど多種多様な草木がひしめいているし。鳥はさえずり、猿は悠々と行進し(笑)、生命の気配にあふれている。その一方で、登山道は細かいところまで丁寧に整備されていて、老若男女誰でも歩けるように、至れり尽くせり。当たり前かもしれないけれど、日本らしいのだ、日本の山は。
でも、そういう日本の山のよさを感じてみると、あらためて、ラダックの山の中を歩いてきた自分の体験が、いかにかけがえのないものだったかということもわかる。とてつもなく苛烈で、だからこそ美しい自然の中で、ひっそりと息づく村や、悠然と暮らす遊牧の民を訪ね歩いた日々。考えてみれば、何という贅沢な時間だったことか。
日本の山で穏やかな体験をした後だからこそ、戻りたくなる。あの場所に。