終日、部屋で仕事。斜光が射し込む無音の部屋の中で、あれこれ資料をひっくり返しつつ、カタカタとキーボードを叩き続ける。
こうして執筆に没頭していると、ポール・オースターの初期の作品によく出てきた、部屋に閉じ込められたままひたすら文章を書き続ける男のモチーフを思い出す。周囲の世界が消滅して、この部屋だけしか存在していないかのような感覚。こんなことを続けていて大丈夫なのか。自分がやっていることは間違ってはいないのか。ふいに不安になることもある。
でも、これは、僕が自分で選んだ道だから。誰かに道案内してもらっているわけでもなく、自分の足で前に進んでいるのだから。どれだけ苦しんでも、どれだけ途方に暮れても、その先にあるものを目指すしかない。
たぶん僕には、そういうやり方しかできないのだと思う。