六月の第三日曜日は、父の日なのだという。
僕には、父の日に父の日らしいことをしてあげたという記憶がほとんどない。実家の家族は割とドライで、何かの日に合わせて何かをやるということはあまりしない方だった。父の日に至っては、僕がすっかり忘れてるのはもちろん、父もたぶん僕に対しては何も気にしてなかったと思う。
でも、ここ一、二週間、街を歩いていて「父の日ギフト」という貼り紙やポップを店先で見かけたりするたびに、胸のあたりがちくちくと痛かった。もう、何かをしてあげようにも、してあげる人はとっくにいなくなっているのだから。
世間に流されてようが何だろうが、もうちょっと、何かすればよかったのかもしれない。小振りな焼酎の一本でも送ってあげるとか。それで何か変わったとも思えないけど、今は後悔というより、もう何かしようにも何もできないという、うつろな気持しかない。毎年、この時期になるとそう感じる。
しようと思えば何かしてあげられる人が身近にいる人は、してあげた方がいい。できるうちに。
今は、そんな風に父のことをぼんやり思いながら、一人でビールを飲んでいる。