その一言のために

昨日今日と、終日、部屋で仕事。一昨日の取材の原稿を書く。

僕は、たぶんライターとしては、原稿を書くスピードはかなり速い方だと思う。雑誌の編集部で契約社員として働いていた時期に、ニュース欄やメールマガジンの記事を猛烈なスピードで書かされていたので、良くも悪くもそういう癖がついてしまったのかもしれない。

ただ、本当に自分自身にとって深い部分で、大切な物事に向き合わなければならない時などには、ふっつりと書けなくなってしまうこともある。伝えたいことは何なのか、わかっていたはずなのに、それを言い表す言葉が出てこなくなる。そういう時は、本当に苦しい。もがいて、苦しんで、頭をかきむしって、必死になって、対岸を目指す。

写真家がたった一枚の写真で人の心を揺さぶるように、物書きはほんの数行、時にはたった数文字の言葉で、渾身のメッセージを届ける。それ以外のすべての積み重ねは、その一言のためにある。いつかまた、そんな文章を書きたい、と思う。

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