日活と東宝東和が手を組んで、アジア映画を日本で紹介していくためのレーベル「GOLDEN ASIA」を立ち上げると発表された。で、そのレーベルから、以前から日本上陸が噂されていたインド映画史上ナンバーワンヒット作「DHOOM:3」と、ラダックのヌブラでも撮影されたヒット作「BHAAG MILKHA BHAAG」が、年末から来年にかけて公開されるという。喜ばしいニュースのはず、だったのだが‥‥。
この2つのインド映画、どちらもカットされた短縮版で上映されるというのだ。「DHOOM:3」は162分が147分に、「BHAAG MILKHA BHAAG」は186分が153分に。これを知ったインド映画ファンたちは、SNS上で猛反発。リアルタイム検索で見たかぎり、短縮版での上映になることについて、肯定的な意見は皆無だった。
特に、昨年大ヒットした「きっと、うまくいく」で日本でも有名になったアーミル・カーン出演のアクション超大作「DHOOM:3」は、日本への上陸を心待ちにしていたファンも多かったので、それがカットされてしまうことのショックも大きかったように思う(僕自身もそうだ。がっくりきた)。短縮版になることについては、配給会社や映画館の側にもいろんな事情があるのかもしれない。しかし‥‥162分を147分にしたところで、何か運営面で大幅に改善できる面がはたしてあるのだろうか。はなはだ疑問だ。
もし仮に、「短縮版を上映することで、より多くの層にインド映画のよさをアピールしていきたい」といった戦略による判断なのだとしたら、配給会社や映画館はそれと引き換えに、日本のインド映画支持層の中核を担っている熱心なファンの支持を失うことになる。インド映画がまだ全然マイナーだった頃から、熱心に何度も映画館に足を運び、クチコミやSNSで地道に評判を広げ、ヒットすると自分のことのように喜んでいたファンの支持を。彼らコアなファンたちは、上映される作品そのものに何よりも愛着を感じているのだから。
オリジナル版で上映されるのが一番望ましい選択肢だとは思うが、仮に短縮版での通常上映に固執するなら、レイトショーでも構わないから、どこかで字幕付きのオリジナル版を映画館で鑑賞できる機会を設けてほしい。オリジナル版はDVDだけで、というのはやめてほしい。「DHOOM:3」は、大きなスクリーンで堪能してこそ意味のある作品だ。
本当の意味でインド映画が日本で認められるのには、まだまだ時間がかかるのかな‥‥。