本を作る時の編集者とデザイナーとのやりとりというのは、人それぞれ、いろんなやり方があると思う。僕自身は、デザイナーさんとやりとりする時、一応心がけていることがいくつかある。
一つ目は、あらかじめ、原稿素材の整理をきっちりやること。とても入りそうもない量の材料を狭い部分に押し込もうとしたり、逆にスッカスカな部分をほっぽらかしたりするのは問題だ。そもそもの発注段階で設定ミスがあると、そういう困ったことになる。
二つ目は、レイアウトラフをちゃんと描くこと。イラレでも手描きでも、そのページの役割と注意すべき点を把握してもらいやすいように。ただ、あまりにも細かく決め込みすぎてしまうと、実際に組んでみた時に困ることもあるので、多少の余裕というか、デザイン時に自由に調整してもらえる部分を残しておく。
三つ目は、できるだけちゃんと会って打ち合わせすること。メールや電話だけだと、伝わっていると思っていたことが微妙に行き違ってしまったりする。話し合いをするうちに、思いがけないアイデアが降ってくることもあるし。
制作全体を通しての心がけとしては、こちらの意向をわかりやすく伝えつつ、それをちょこっと超えてくるようなデザインのアイデアを出してもらえることを期待するというか、アイデアを出してもらいやすいような状況を用意するというか。そのためには、時には関係各所に対していろんな交渉をしなければならない場合もあるけれど、それもまた編集者の仕事だ。
すべては、いい本を作るために。