お金のやりとり、気持のやりとり

年末年始に帰省していた時、中1の姪っ子の宿題で「身の回りにいる人に“仕事とは何か”について聞きなさい」というのがあったので、僕もそれに答えることになった。

「仕事って、結局はお金のやりとりなんだよね。どんなにきれいごとを言っても、それは変わらない。仕事はお金のやりとり」と僕が言うと、近くにいた母があわてて何か口をはさもうとしたが(笑)、僕はそれを止めて言葉を続けた。

「でも、仕事でお金のやりとりをする時、お互いに対する感謝の気持も一緒にやりとりできたら、それはたぶん、いい仕事だったんじゃないかなと思うよ」

僕自身、常にそんな風に気持のやりとりもできる仕事をしているとは言えない。それなりに高額な報酬だったのに、依頼主と気持が通じ合わなくて、心の中にもやもやした後悔を残したまま終えた仕事も、正直たくさんある。そういう依頼主との仕事は、やっぱり長くは続かない。

でも、ほんとにささやかな規模の仕事でも、「いい文章を書いてくれてありがとう」とか、「いい写真を撮ってくれてありがとう」とか、関わった相手の気持が伝わってくると、自分の思い入れが文章や写真を通して伝わったのかな、とうれしくなる。それは社交辞令なのかもしれないけど、そうして伝わってくる気持が、僕を支えてくれている。

一字々々、一枚々々に、気持を込めて。たとえ愚直でも、僕にできるのはそれだけ。

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