本づくりという博打

生まれてこのかた、ギャンブルの類にはほとんど手を出したことがない。

パチンコは思い出せないくらい昔、物珍しさに千円くらい使ってみたが、まったく面白さを理解できなかった(笑)。競馬も、麻雀も、まったく経験&興味なし。あ、五年ほど前にマカオに行った時、カジノで大小をやって、一瞬で100ドルすった記憶がある。つまり、博打に対する興味もなければ、勝負運もからきしという人間だ。

ただ、今の自分の仕事‥‥本づくりという仕事は、傍目には穏やかに見えるかもしれないが、博打に近い要素はかなりあると思う。Webで見かけた細田守監督のインタビューを読んで、映画と書籍という違いはあるにせよ、その辺のことをあらためて自覚した。

映画の価値は、有名な原作とか、有名な監督、クリエイターがやっているからじゃない。その映画に今まで見たことがない価値があるからでしょう。見たことのない面白さを提供することに価値があると思う。そういう価値がみんなと共有できた時に成功するんじゃないか。常に挑戦しないと映画を作る意味がないんですよね。じゃないと誰も振り向いてくれないですよ。‥‥という意気込みがあるんですけど、映画が常に挑戦であることはイコール博打なので、毎回々々どうなるかわからないです。

誰かの後追いではなく、常に新しいことに挑戦して、見たことのない面白さを提供すること。それはリスクを伴う博打で、当たるか当たらないかは本当に神のみぞ知る、だ。でも、安全牌だけ切り続けるようなやり方には、正直、さして興味はない。僕も、挑む気持を忘れないようにしたいと思う。

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