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「光」

河瀬直美監督の最新作「」。視力を失いつつあるフォトグラファー、中森と、視覚障害者のために映画の音声ガイドを作っているライター、美佐子の物語。これは観ておかなければ、と思っていた。

観ていてまず感じたのは、光と影、そして一つひとつの物音が、とても丁寧に捉えられ、繊細に表現されているということ。観る者の感覚は映画の中に引き込まれ、自分自身を取り巻く世界のディテールを感じ取る。

次に感じたのは、僕たちはみな、別に何も違わない、同じ人間なのだ、ということだった。この世界には、目や耳、手足にハンディキャップを抱えている人、あるいは認知症などで思考や記憶にハンディキャップのある人もいるけれど、それぞれが、それぞれの世界を持っている。一人ひとり、みな違っていて、だからこそ、何も違わないのだと。

そして、観終わった後に思ったのは……大切なものを失っても生きていく、ということについて。

もし自分が、写真を撮ることができなくなって、あるいは文章を書くことができなくなって、それでも生き続けなければならないとしたら。そう想像した時、本当に背筋が凍るような感覚で、怖ろしくなった。普通に死を迎えるより、その方がずっとつらい。なまじ、こういう仕事をしているからではあるけれど。

人間は、大切なものを、ずっと抱えながら、そして時々失いながら、生きている。僕たちが生きていく先に横たわっているものは、希望なのか、それとも、あきらめなのか。それを簡単な言葉に置き換えたくはない。いつか終わりが来た時に、その人だけが感じ取れるものなのかもしれない。

終わりの始まり

今日は午前中から武蔵境で取材。始まるまでの少しの待ち時間、関係者の人との雑談で、最近の国会の話題になる。驚いたことに、びっくりするほど、関心が薄い。

加計学園? 森友学園? たいした問題じゃないでしょう。ほかにも政治家とつるんで何かしてるところはたくさんあるでしょうし。共謀罪? 我々には別に関係ないですよ。野党だって、あやしい素性の人とかいるじゃないですか。

……こんな調子だったので、それぞれのツッコミどころに淡々とファクトを示していくと、その人も次第に言葉に詰まっていってしまった。

その人は、単に興味がなかったから、何となくのぼんやりしたイメージでしか、物事の推移を見ていなかったのだ。たぶんそんなにたいした問題じゃない。たぶん自分には関係ない。多くの日本人がそうしてぼんやりスルーしていくうちに、この国はもう、取り返しのつかないところまで堕ちてしまった。終わりの始まりだ。

自分たちの保身のためになら平気で嘘をつき続けるような姑息な人間たちに、今、この国は牛耳られている。

改正酒税法

いつのまにか、6月になっていた。

なんでも、世の中では今日から、いろんなものが値上がりするらしい。郵便料金の値上げは、書類や請求書を送るのに地味に響く。電気代やガス代ももちろん影響を受ける。バターとかはまあいいとして、ビール……ビールが値上がりだと?!

聞くと、改正酒税法とやらの施行で、ディスカウント店などでの安売りが規制され、その影響でスーパーなどでも底値が上がることになるらしい。今後の状況の推移にもよるが、1割くらいは高くなるのではないかと。……解せぬ。

まあ、今の日本の政府は、何から何まで解せぬことだらけで、もうつける薬も見当たらないけど。

アトレやディラよりも優先すべきこと

午後、八王子で大学案件の取材。駅からさらにバスで移動した場所だったので、何気に遠かった。帰りに煮干しラーメンを食べ、中央線で帰路につく。

武蔵小金井駅だったか、発車しかけた電車が急停止した。人身事故だろうか、と不穏な想像が頭をよぎったが、反対側の空のプラットフォームから誰かが線路に転落した、とのアナウンス。何が原因だったのかはわからないし、怪我されていたかもしれないが、とりあえず、ほっと安堵する。

ここ何年かの間に、中央線の各駅は、一つの設計図をコピー&ペーストしたかのように、どこもかしこも同じような佇まいになり、アトレやディラという名前の同じような商業施設がくっつく形になってきている。それはそれで別に悪くはない(かといって別に良くもない)が、そういう駅や商業施設の改装よりも先に、各駅のプラットフォームにホームドアを設置するのを優先すべきではないだろうか。中央線は昔から、人身事故や飛び込み自殺の多い路線だ。ホームドアがあるだけで、どれだけの命が失われるのを食い止められることか。

最近では、列車の1両あたりのドアの数が異なっても対応できるような新しいタイプのホームドアも登場しつつある。商業施設よりも何よりも、まずは人命を守ってほしい。

電話世論調査

東京都議会議員選挙についての世論調査の電話がかかってきた。昨日の午後だけで、二回も。

どちらも自動音声のナビゲートに従って、自分の意思に沿った番号を選んで押すという方式。調査内容はどちらも似たり寄ったりだったが、支持政党名を挙げる時の並び順が、一方は自民党が先で、もう一方は都民ファーストの会が先だった。都民ファーストの会を先に挙げた方の調査では、築地から豊洲への市場の移転問題についてかなり重ねて質問してきて、意図的に争点にしようとしているのを感じた。他にもいろいろあるだろうに。

結論から先に言うと、僕は都民ファーストの会&公明党にも、自民党にも、投票する気はございません。少数派で結構。あしからず。