ありがとね

この三日間で、引っ越しの準備をかなり進めることができた。不要になった家具や電化製品を友人や業者さんに引き取ってもらってから、空いたスペースを使って、本や身の回りのものをかたっぱしからダンボール箱に詰めていく。一時は文字通り足の踏み場もなくなったが、封をした箱から二段重ねに積み直していくと、どうにか床が見えてきた。あれだけ思い切って不用品を処分したのに、まだこんなにたくさんの荷物があったことに我ながら驚く。まあ、6、7割方は本だけど。

明日の朝、買い替えで不要になった仕事机を粗大ゴミに出し、同じく不要になった冷蔵庫をリサイクル業者さんに回収してもらえば、準備はほぼ完了。がらんとなった棚やクローゼットを見回す。引っ越し屋さんが来るのは、土曜の朝だ。

十年間、この部屋で暮らしてきた。大学入学の時に上京して以来、東京で借りた部屋の中で、一番愛着のあるのは間違いなくこの部屋だ。たくさんの原稿を、本を書いた。ヘタクソながらも自炊を覚え、毎日のようにコーヒーをいれた台所。窓の外、近所の幼稚園からいつも聞こえていた、子供たちの歓声。そんな記憶が、ふわっと甦ってくる。

「ありがとね」。誰に言うともなく、つぶやいてみる。ほんとに、ありがとね。

牛乳常飲

昨日の夜は綱島のポイントウェザーで、松尾純さんを囲んでの飲み会。「撮り・旅!」に協力していただいた方々を中心に、おいしい餃子やビリヤニをいただきながらのなごやかな宴になった。

その席上でなぜか牛乳についての話題になり、僕が冷蔵庫にほぼいつも牛乳を常備して、水代わりに常飲していると言うと、結構みなさんに驚かれた。育ち盛りの十代の頃ならまだしも、こんなおっさんになってるのにか、と(笑)。僕は子供の頃から家では牛乳を飲むのがすっかり習慣づいていて、清涼飲料水の類は果汁100%ジュース以外はほぼ飲まない。たまにコーヒーを切らしてる時に缶コーヒーを外の自販機で買ってくるくらいか。まあ、ビールは飲んでるけども。

確かに牛乳は人によって合う合わないがあるし、おなかを壊しやすくなる人もいるから一概には言えないが、少なくとも、自分が生まれてこのかた一度も骨折とかをしたことがないのには、牛乳の常飲が少なからず寄与してるような気もする。まあ、あと、牛乳、おいしいし。そんなわけで、今も牛乳をぐびぐび飲みながらこれを書いている。

任務完了

昼から銀座へ。松尾純さんの写真展「クゼゥゲ・クシュ」が開催されている銀座ニコンサロンへ。この日行われるギャラリートークの司会という大役を松尾さんからご指名いただいたので。

松尾さんは理路整然とわかりやすく話せるトーク力をお持ちの方だとわかってはいたものの、ギャラリー内がほぼぎっしりと埋まるほど大勢のお客さんの前で司会を務めるのは、やっぱり緊張した。写真展自体にとっても大事な位置付けのギャラリートークだったから、なおさら。話の引き出し漏れのないように気を配りつつ、時計の針も時々見ながら進めていった。大きなミスもなく、まずまずうまく任務を果たせたのでは、と思う。

自分のイベントの終わった後と同じかそれ以上に、ほっとした。写真展は6月26日(火)まで。まだの方は、ぜひ。

仮の寝床

引っ越し先の部屋のスペースの都合で、ベッドを買い替えることにした。同じ無印良品の脚付きマットレスの、一番小さなサイズに。

無印良品では、ベッドを買い替えると配送時に古いベッドを引き取ってくれるという、ありがたいサービスがある。僕もそれを利用することにしたのだが、同じ部屋への配送でないと適用されない。なので、引っ越しの前に、今住んでいる三鷹の部屋に届けてもらうことにした。

新しいベッドの梱包を解いてしまうと、引っ越す時にまた自分で梱包し直さなければならないので、手配の時に「梱包は解かなくていいです」と頼んでおいた。で、今、寝室には、ダンボールに包まれたまま脚もついていないマットレスが転がっている。僕はその上に適当に毛布をかけ、枕を置き、掛布団をかけて、仮の寝床とすることにした。

仮の寝床、寝心地は多少硬いが(笑)、寝られないほどではない。海外の安宿によくある、妙に硬いベッドみたいな感じ。あるいは長距離列車の二等寝台か、寝台バスみたいな。ある意味、慣れてるというか、予想の範囲内(笑)。

あと十日ほど、仮の寝床での暮らしは続く。

新しい名刺

引っ越しを機に、名刺を新しく作り直すことにした。

ここ数年使っていた名刺は、吉祥寺の印刷業者でテンプレートに合わせて作った、お手軽名刺。デザイン的には正直微妙だったし、英文併記にもしてなかったから、国外で使えないのも難点だった。作り直すのが面倒だったのと、引っ越しのタイミングがつかめなかったのとで先送りにしてきたのだが、ついに、ようやく、といった次第。

昔はイキがって活版印刷の名刺を作ったこともあったが、コストが半端ないのと、増刷のたびに活字を組んでもらわなければならないので、今回はデータで。自分でデータを作るという選択肢も考えたが、こういうアイテムこそきちんとプロにデザインしてもらった方がいいと思い直し、ラダックの本などでいつもお世話になっているデザイナーの井口さんにお願いすることにした。

井口さんが提案してくれたデザイン案は、とてもシンプルで清々しく、一目見て気に入った。表に和文、裏に英文。タテ位置、横書き、中央揃え。上半分に名前と肩書き、下半分に住所と電話番号、メールアドレスなど。字間はやや空き気味にゆったりと。中央に一本の横線が入っている。紙はアラベールスノーホワイトの200kgをチョイス。印刷通販で注文したら、6日ほどで届いた。

仕上がりは、申し分なし。何だか、自分が急に辣腕ライターになったような錯覚に陥った(笑)。この名刺に恥じぬよう、きりきり働かねば。