平和産業

今年の旅行業界は、かなり厳しい状況に陥ると思う。

理由は、例の新型肺炎だ。実際の危険性よりも、得体の知れない病が流行しているという情報の蔓延が、必要以上に人々の警戒心を煽っている。用心し過ぎるに越したことはないのだが、そういう警戒心によって、人々の行動の選択肢から真っ先に排除されていくものの一つが、旅行だと思う。

インバウンドもアウトバウンドも、旅行会社はすでに青息吐息の状態だろうし、新型肺炎が終息するまで(半年はかかるのでは)持ちこたえられない会社も出てくると思う。僕自身の仕事は旅行関係の書籍を作る仕事だが、ガイドブックを出している出版社は印刷部数を低めに設定し直すに違いないし、出版社に新刊の企画を持ち込んでも通しにくくなるだろう。影響は、僕や同業者にも少なからずある。

旅行業界は、結局、平和産業なのだ。政情不安やテロ、戦争、そして疫病の流行など、何かが起これば、もろに影響を受ける。その大波が静まるまで、僕らはじっと耐えて待つしかない。最近は、そういう大波の押し寄せる頻度が、ずいぶん増えてきているようにも思う。

まあ、こればっかりは、仕方がない。できる範囲で、がんばろ。

ピリ辛ネギ

自宅作業の日のおひるに、インスタントラーメンをよく作る。以前は、食べるラー油と生卵をよくトッピングしてたのだが、最近は食べるラー油の代わりに、ピリ辛ネギを自作してトッピングするようになった。

ピリ辛ネギの作り方は簡単。長ネギ2分の1本を縦半分に切って斜め切りにし、醤油小さじ1と豆板醤小さじ2分の1とゴマ油小さじ2であえるだけ。これを味噌ラーメンに合わせると、なかなか満足度が高い。ピリ辛ネギ単体にゴマなどを振って、酒の肴にするのもいいと思う。

家での自炊に味噌汁を作る関係で、長ネギも最近よく買うのだが、中途半端に残ってしまうことも結構ある。なので、ピリ辛ネギラーメンは、そういう余りネギを有効活用できるソリューションだと思っている。ソリューションて。

範を示せ

昨日から、確定申告の準備に、嫌々ながら着手している。まったく気の進まない作業だが、これを終わらせなければ、やるべき作業、やりたい作業に取りかかれないので、渋々と。

取引先からの支払調書とか、手元にため込んだレシートの山とかをちまちま整理してると、何だかとてもアホらしくなってくる。だってそうだろう。今の日本の総理大臣は、自分の後援会主催で地元有権者を800人も集めたパーティーを高級ホテルの宴会場で開催しておいて、その収支を政治資金収支報告書に記載していないばかりか、パーティーで参加者に渡したという領収書も、ホテル側に料金を支払った際の明細書も、提出しようとしないのだ。一国の長が身勝手に法律を破っているのに、なぜ僕ら庶民は、コンビニのレシート1枚まできっちり保存しろと税務署に言われなければならないのか。

森友問題では多くの公文書が改ざんされ、その作業をさせられた近畿財務局の職員の方が自殺に追い込まれた。加計問題でも、官邸側に都合の悪い内部文書の多くが握り潰されている。当たり前のまっとうな正義がねじ曲げられてしまっている。もう、うんざりだ。

首相としての矜持があるなら、範を示せ。非を認め、世間に詫び、身を処せ。

魯肉飯と蘿蔔湯

台湾を旅した時、魯肉飯を食べる機会が何度かあった。

魯肉飯は、さいの目切りにした豚バラ肉を煮込んで、ごはんにかけたもの。台湾には魯肉飯を出す店がそこら中にあるのだが、日本でイメージされているよりもずっと安価で気安く食べられる、汁かけごはんといった感じで出されていた。僕もその気安さがすっかり気に入ってしまって、帰国後、自分でも二度ほど作ってみた。

豚バラは締まりのある国産肉の方がよさそう。最初に八角をごま油でテンパリングし、生姜のみじん切りを炒め、さいの目に切った豚バラを炒める。砂糖、酒、黒酢、醤油、オイスターソースを加え、適量の水を足し、トロ火で4、50分煮込む。フライドオニオンを足すと、とろみをつけやすい。ゆで卵を一緒に入れておくと、いい感じの煮卵になる。煮えたら、炊きたてのごはんを丼によそって、その上にどばーっとかける。好みで花椒を軽く振ってもいいかも。煮卵のほかに茹でた青菜とかを添えると、華やかになる。

甘辛い魯肉飯と一緒に、さっぱり味の蘿蔔湯(大根のスープ)を用意すると、さらにいい感じに。大根は一口大くらいに切り、2、30分ほど煮る。ガラスープの素、ナンプラー、塩、胡椒などで適当に味付けして、最後に青ネギなどを投入すればOK。

魯肉飯と蘿蔔湯を晩ごはんに食べて、食後に台湾蜜香紅茶を飲めば、気分はもうすっかり、あっちの国である。

プロの仕事

昨日の夜は、荻窪の中華料理店、潮州へ。

かつて阿佐ヶ谷にあった頃から、潮州は、僕にとって、人生で一番おいしい中華料理を味わえる店だった。その潮州の料理長の馬さんが、ご家庭の事情で、今月いっぱいで店を離れられることになった。なので、相方と二人、今月最後の週末に、ぎりぎりすべり込みでお邪魔した次第。

XO醬。ピータン豆腐。エビマヨ。酢豚。レタスチャーハン。何というか、ほんまもんのプロの仕事を、一皿々々、いただいたような気がした。この一皿を作るのに、どれだけの修練と努力と集中力と気配りと、そして、まごころを、込めているのだろう。料理に限らず、プロとして仕事を残していくのであれば、かくあるべし、という姿を見せていただいたような、そんな気持ちになった。

おいしさに感動するだけでなく、勇気を奮い立たせてもらえるような料理は、めったにない。ごちそうさまでした。ありがとうございました。