自粛ポリス

先週の金曜、ひさしぶりに散髪に行った。約2カ月ぶり。最近暑くなってきたし、いつまた散髪できるかわからなかったので、思いっきり短くしてもらうことにした。お店の人は「ああ、インドに行く時くらいの短さですね」とあっさり理解してくれた。

髪を切り終わり、襟足を剃り、シャンプーをしながら、お店の人はこんな話をしてくれた。昨今の緊急事態宣言の影響で、この理髪店もゴールデンウイーク中は店を閉めていたそうだ。で、その旨を知らせる紙を店のシャッターに貼っていた時、通りがかったおばさんが、その貼り紙をスマホで撮っていた。ちなみのその理髪店、客の99%は男性である。

連休明けに再び営業を再開すると、何人かのおばさんが、店の前を通りががるたびに、店が営業している様子をガラス越しにスマホで撮っていくようになった。中にお客さんがいる時でも、おかまいなく。そのおばさんたちの不審な挙動に、「ああ、これが自粛ポリスというやつか」と合点したという。緊急事態宣言下で営業している店の様子を、SNSに晒したり、自治体に苦情として持ち込んだり、するのだそうだ。「怖いんで、SNSとか見てないですけどね」とお店の人は苦笑していたが。

今回の緊急事態宣言で、理髪店や美容院は、休業要請の対象にはなっていない。にもかかわらず、警察でも役人でもない一般の人たちが、裏付けのない正義感にかられて、そんな所業をするとは……。すっかり、監視社会じゃないか。まったく、人間というやつは。

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伊藤精一「俺のアラスカ 伝説の“日本人トラッパー”が語る狩猟生活」読了。アラスカに移り住んで罠猟師(トラッパー)とハンティング・ガイドとして暮らしてきた伊藤精一さんの口述をまとめた本。とても貴重な記録で、伊藤さんの軽妙な語り口とあいまって興味深く読ませていただいた。残念なのは、誤植が多かったこと。本文組の書体指定が変に転んでしまってる部分など、かなり気になった。見本誌までの段階で直せなかったのだろうか。

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