本を読む時間

今年は、毎日少しずつでも本を読む時間を作るという目標を掲げていて、ラオス取材などで飛び飛びになりつつもまだ続けている。それであらためて思うのは、本の価値というのは、人がそれを読んでいる時間そのものにあるのだなあ、ということ。

たとえば、これからテクノロジーが妙な方向に発展して、人間の頭に端子をくっつけてデータを送信すれば、どんな分厚い本の内容も一瞬で理解できるようになったとする。プルーストの「失われた時を求めて」だろうが、トルストイの「戦争と平和」だろうが、一瞬に。そうなったとしたら……ものすごくつまらないだろうな、と思う。一枚ずつページをめくり、行と行の間を行きつ戻りつしながら、一文々々、味わっていく。その時間こそが、本ならではの価値なのだから。

さて。今夜もずいぶん遅い時間だけど、ちょっとだけでも、ページをめくることにしよう。

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