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逆風の日

朝から本降りの雨。午後から鷹の台で取材だったのだが、今日はなかなかきつかった。

というのも、取材させていただく方ご本人のアポは取れていたものの、取材をさせてもらうということ自体が伝わっていなかったのだ。時間も、1時間少々いただくつもりだったのが、後に来客があるということで30分に。あと、ちょっと込み入った行き違いで、こちらの事前準備もほぼ役に立たない状態に。こんな逆風の中での取材も珍しい。

それでも助けられたのは、相手の方がとても温厚で、かつ頭脳も言葉も明晰な方だったので、すぐに面白い話題をひねり出して滔々と話してくださったこと。それが、こちらがあらかじめヤマを張って予習しておいた方面にかすってくれたので、どうにかこうにか、原稿を書くのに必要なお話はお聞きすることができた。

でも、今日の場合は、避けようと思えば避けられたトラブルだったんだよな‥‥僕からも「この取材、ヤバイんじゃないですか?」とあらかじめ依頼元に何度も連絡を入れていたし。それでいて、最終的に最前線で地雷処理をやらされたのは、そういう事前調整とは本来関係ない立場であるライターの僕というのは、何だかなあという感じである。

昨日の今日で何だけど、モチベーション、かなり下がった(苦笑)。

モチベーションを上げる方法

今日、仕事で書いていた原稿の中に出てきた話題なのだけれど。

仕事や勉強に対するやる気、モチベーションを上げるには、二つの要因があるのだという。一つは、お金や名誉、社会的地位といった外発的報酬。もう一つは、やりがいや楽しさ、達成感といった内発的報酬。興味深いのは、外発的報酬に必要以上に依存するようになると、かえってモチベーションが下がってしまうという研究結果があるのだ。

つまり、ギャラはいいけど内容はつまらないと感じている仕事とか、世間的にはすごいと思われてるけど自分では納得できない仕事は、「ギャラがいいから」「世間的に注目されてるから」というだけではモチベーションが維持できなくなるのだ。お金がそれなりにもらえるルーティン・ワークは、日々の生活を維持するのに大事ではあるけれど、それだけではいずれモチベーションが底をついてしまう。

そこで、日々のルーティン・ワークを守りながらも、自分にとってチャレンジングな、でも面白くてやりがいのある仕事(ギャラは二の次)をうまく混ぜていくと、全体的なモチベーションを維持しやすいのだという。なるほどな、と思った。言われてみれば、自分も無意識のうちに、ハードルの高い仕事(企画から全部手がける書籍とか)とそれ以外の仕事を組み合わせて、自分の中でバランスを取っていた気がする。

そういえばこの間、クライアントの担当さんから「他のライターさんが、ギャラが安いからか取材や原稿も手抜き気味な感じで‥‥」と愚痴をこぼされたのだが、ギャラが安いからといって手を抜くのは論外。でも、だからってギャラが安すぎてもいいわけがない。実際安すぎるし(苦笑)。

やりがいはものすごく大事だけど、お金もそれなりに大事だよ、というシンプルな結論であった。

いつものように

今朝はなかなかベッドから起き上がれなかった。ここ数週間、日中は取材、夜は執筆という日々がずっと続いて、疲労がたまっていたのだろう。身体が「ノー!」とダメ出ししてるような感じだった(苦笑)。

それでもどうにか昼過ぎには起きて、コーヒーを飲み、近所のコンビニで買ったエクレアで糖分を脳に補給し、原稿に取り組む。半歩ずつでも進まなければ、いつまでたっても終わらないし、終わらせないとまずいし。

でも、今のように疲れてたり、しんどい出来事があったりする時は、きりのいいところですぱっと切り替えた方がいいのも確か。なので、夜は仕事を切り上げて、リトスタに行った。今日の店内は満席で、ヘルプに来た顔なじみの元スタッフさんたちがちゃきちゃきと行き来していて、にぎやかでなごやかな雰囲気だった。たけのこの木の芽フライ、たけのこチャーハン、いちごババロア。いつものように、笑いながらごはんを食べられることの幸せ。

ごちそうさまでした。明日からまた、半歩ずつでも、がんばろう。

インタビューに事前準備は必要か?

最近、自分のクライアントの担当者や同業者の知人から似たようなことを聞いたので、それについてつらつらと。

僕のようなライターが、仕事で誰かにインタビューをしてそれを文章にする時、取材前にはあらかじめ、相手についてある程度下調べをしたり、質問項目のリストを用意したりする。ところが最近は、そういう事前の下調べをあえてせず、アドリブの質問でインタビューをするライターの方も結構いるのだという。

個人的には、「事前準備もせずにインタビューするなんてありえない!」と頭ごなしに否定しようとは思わない。予定調和を排除してアドリブによるライブ感を重視したいインタビューなら、事前準備をしない方がいい場合もあるかもしれない。そのライターの方に卓越した実力(インタビュー術、文章力、その他もろもろ)があるなら、下調べなしのアドリブスタイルのインタビューをしてほしいという依頼も来るのかもしれない。ただ、僕自身のライターとしての今までの経験から言えるのは、世の中にあるインタビュー案件のうち、そういう類の仕事はほんのわずかだ。下調べをしていなければ相手はすぐ気付くし、気分を害する人も少なくない。ほとんどの場合、手抜きとしてしか受け取られないんじゃないかと思う。

じゃあ、とことん徹底的に前もって準備をして、インタビュー本番は計画通りに質問を重ねていけばいいのかというと、それもちょっと違う。あらかじめ決めた質問をするだけなら、誰にだって、機械にだってできる。大切なのは、自分は(あるいは依頼元は)なぜその人に会いたいのか、自分はその人に何を聞きたいのか、その2点をきちんと考えて、はっきりさせておくこと。それさえぶれなければ、予備知識や質問項目はいったんポケットに入れておいても構わない。インタビューでは相手の表情や言葉に全力で集中しながら、時には臨機応変に質問を変えたり、話の流れを微妙に調整したりして、自分が会いに来た理由を相手に伝え、自分が聞きたいことの核心を相手から引き出し、あわよくばプラスアルファの何かをつかみとることを目指す。それが良いインタビューの条件だと思う。

ちなみに、まだ駆け出しのライターの方は、事前準備はしすぎるくらいしておいた方がいい。その誠実さはきっと相手にも伝わるはずだし、たとえ途中でちょっとバタバタしたとしても、どこかで心の通じ合うやりとりはできるんじゃないかと思う。そういう経験を少しずつ重ねていけば、アドリブの質問なんて、そのうち意識しなくても自然にできるようになるはずだ。ぶっちゃけ、アドリブ自体は別にたいした技術でもないと思う。

あとは、ひたすら丁寧に原稿を書く。がんばりましょう、お互いに。