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来年の抱負

明日から、東京を離れて実家の人間に会いに行くので、今年のブログの更新はこれが最後になる。

2010年を振り返ると‥‥やっぱり、悲しい一年だったなと思う。あまりにもたくさんの人々の死と悲しみに接することになってしまった。どうしようもなかったのだけれど‥‥。自分自身も、あわや‥‥という目に遭ってしまったし。

でも、そうした経験を通じて、ラダックという場所とのこれからの関わり方や自分が果たすべき役割について、じっくり考えるきっかけが得られたことは、収穫といえば収穫だったかもしれない。

来年の抱負は‥‥月並みかもしれないけど、これに尽きると思う。

いい本を作る。

いい本を作ったからといってそれが売れるとはかぎらないし、売れる本を作ったからといってそれがいい本だともかぎらない。でも、一冊々々、自分が心の底から「これは面白い」と思える本を作り続けていれば、その積み重ねは、きっと何かに繋がる。きっとどこかで、誰かの心に届く。

それを信じて、少しずつでも、自分が目指す方向に進んでいけたらと思っている。

企画書の書き方

今日は祭日だというのに、ぽっかりと予定が空いてしまった。買い物に行くとか、自転車に乗って遠出するとか、あれこれ思案してみたのだが、結局、新しい本の企画書を書くということに落ち着いた。‥‥仕事じゃん(笑)。

僕が本を書く時は、出版社から企画を依頼されて書く場合と、自分で企画書を作って出版社に持ち込む場合とが半々くらい。本を出せることが確約されている前者に比べて、後者は相手の編集者との相性次第。イチかバチかのプレゼンをするのは、さすがにシビれる。でも、あらためて思い返してみると、自分が企画を持ち込む時は、そんなに悪くない勝率で採用してもらえているような気がする。

僕の企画書の書き方は、とりたてて特別なテクニックは使っていない。それはどういう本なのか、伝えたいことは何なのか、どんな読者をイメージしていて、類書とは何が違うのか‥‥といった基本的な事柄を筋道を立てて説明していって、最終的に「この本は面白いです!」という説得につなげる。数字やデータは、説得材料として有効に使えるものがあれば挿入する時もあるけど、ターゲットマッピングなどの図解はほとんど使わない。図解やら表やらで無駄にページを重ねるより、すっきりと筋が通った理屈になっていることの方が大事。相手は同じ業界のプロだ。うわべだけのごまかしは効かない。

プレゼンの場で惨めな思いはしたくないから、企画書を仕上げるまでにはじっくり時間をかける。大変なのは大変だけど、書いているうちに、自分の中でアイデアを整理できるというメリットもある。何だかんだで、新しい本の企画書を書くのは、結構愉しい。‥‥特に、それがラダックについての本の企画だったりすると(笑)。

散髪の効用

午後、電話やメールでの連絡業務に追われる。某所から思いがけず好感触の回答をいただいたりして、ほくほくした気分になる。世の中、何事もやってみるものだな。

夕方、三鷹駅前の理髪店に行って散髪。これは僕だけなのかもしれないけど、散髪をしてもらっている間の時間というのは、あれこれ考えごとをするのにすごく適した時間ではないかと思う。身体が完全にリラックスした状態で静止しているので、目を閉じていると、かえって脳が活性化されるような気がするのだ。

今日は昨日打ち合わせをした新しい本の仕様について考えていたのだが、自分でもびっくりするくらい、いろんなアイデアがポコポコと浮かんできた。散髪してもらいながらの一人ブレスト、いいかも。

打ち合わせは楽し

午後、市ヶ谷にある出版社へ。来年の前半に取り組む、新しい書籍の企画についての打ち合わせ。

この企画を依頼してきてくれたのは、昔からの知人の編集者さん。ここのところしばらくご無沙汰していたが、こうして僕を指名してくれて、また一緒に組んで仕事ができるのは、ありがたいことだなと思う。一時間半ほどの予定で始めたブレストは、何だか妙に盛り上がってしまって、気がつけば三時間オーバー(笑)。

「あー、こんな時間! でも、楽しかったです!」

編集者さんにそう言ってもらえて、僕も何だか嬉しかった。これから始まる冒険を前にして、宝の在処を記した地図を広げてわくわくしているような気分。まあ、いざ始まると、地味で根気のいる作業がずっと続くことになるんだけど。

徹夜をせずに〆切を守る

夕方、歯医者へ。来週以降もまだしばらく通院が続くことになった。憂鬱だ‥‥。

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昨日のエントリーでレビューを書いた上阪徹さんの「書いて生きていく プロ文章論」を読んでいて、ワークスタイルのポリシーで同じだなと思ったことがある。それは「〆切は必ず守る。でも仕事のための徹夜はしない」という点だ。

雑誌の編集者として出版社に勤めていた頃の僕は、よく入稿日前に会社に泊まり込んで、徹夜で原稿を書いたりしていた。そうそう、「地獄のミサワ」に出てくるような感じ(笑)。あの頃は、そうでもしないと絶対〆切に間に合わないと思い込んでいたのだ。

フリーランスになってから、僕はさらに無茶なハードワークを重ねて仕事をさばいていたが、案の定、ほどなく体調を崩してしまった。完全に復調するまで、半年から一年くらいかかっただろうか。労災も何もないフリーランスの身で、薬漬けでフラフラの状態になりながら、それでもどうにか仕事を途切れさせずに続けられたのは、今思うと、単に運がよかっただけかもしれない。

それからの僕は、よほどのことがないかぎり、仕事のための徹夜はしなくなった。その一方で、〆切をきっちり守っていくために、早め早めに手を打っていくスケジューリングを心がけるようになった。徹夜をせずに〆切を守る。やってみると、意外とできるものだ。そして、その方が仕事でもミスの少ない、いい結果が残せることがわかった。

仕事でいい結果を残していくには、時にはハードワークが必要になる。でも、恒常的に過剰なハードワークが続いてしまっているような状況は、必ずどこかで無理が生じる。身体を壊してしまったり、致命的なミスを犯してしまったりする。無理が生じないような仕事環境を作るのはとても大切だ。もし、それが変えられないというのであれば、その仕事を続けていくための体制が根本的に間違っているのだと思う。

というわけで、苛酷な年末進行で喘いでいる同業者のみなさん、あまりご無理はなさらぬように。