Tag: Work

プロになるということ

先月中旬、あるフォトグラファーの方にインタビューした時、印象に残っている言葉がある。

「プロのフォトグラファーになりたいと思っている若い人は大勢いますが、実際にプロになる人は、ごくわずかですよね。写真の仕事だけで生活できるかどうかわからないから、みんな尻込みしている。そういう人に、僕はよく言うんです。自分が本当にプロになりたいかどうか、真剣に考えろ。本気でなろうと思えば、何にでもなれる。でも、『なれるものならプロになりたい』と思う程度だったらやめておけ、と」

まったくその通りだなと思うし、フォトグラファーに限らず、ライターにも、編集者にも、ほかのあらゆる職業にも通じる話だと思う。実際、なろうと思えば、僕たちは何にでもなれる。その上で必要なのは、自分が選んだ道で生き抜いていく覚悟。どんなに打ちのめされても、折れない心。たとえ先が見えなくても、前に踏み出す勇気。

それが、何者かになるということ。プロになるということなのだと思う。

ツイてない日

夕方、電話が鳴る。以前、名刺交換をしたことのある方から「取材ができるライターさんを探していて、山本さんだったら‥‥」という相談。取材日を聞いてみると、あいにく、来週の大阪取材の日と重なっている。あちゃー。

先方はかなり困っているようだったので、友人のライターにもあたってみたのだが、みんな忙しくてNG。何も助けてあげられないまま、電話を切ることになった。申し訳ないことをした。

気を取り直して、音楽でも聴こうかと思ってボーズのイヤフォンを手に取ったら、あー! 断線してる! かれこれ三年近く使ってきて、特にラダックでは酷使してきたから‥‥。どうしよう。とりあえず、iPhone 4付属のイヤフォンは手元にあるのだが、ボーズに比べると音質が圧倒的に劣るし‥‥。

そんなこんなで、いろいろツイてない日。こんな時もあるさ。

前倒し進行

昨日に引き続き、今日といい天気。空気もひんやりして、からっとしている。洗濯して外に干していたジーンズを取り込もうとしたら、ぱりっぱりに乾いていて、まるで干物というか、立派な利尻昆布みたいな感じになっていた(笑)。

今日もコツコツと、今関わっている案件の作業に取り組む。今までもそれなりに進めてきていたのだが、さらに急ぐ必要が出てきた。というのも来週の前半、たぶん九州方面に取材に行くことになりそうなのだ。そうなると、今やってる案件の作業時間が二日減ってしまう。できるだけ前倒しで進めておかなければ‥‥。

でも、今月初めに帰国して以来、ろくに営業活動もしていないのに、これだけ仕事をもらえているのは、ありがたいことだなあと思う。働かざるもの、食うべからず。もちろん、自分にとって一番大切なテーマの仕事のことも、忘れてはいないけど。

日常の価値

終日、部屋で仕事。今日は変な邪魔も入らず、集中して作業できた。昼はラーメンを作り、夜はパスタを茹でる。麺類づくしだが、まあ、別にいいや(笑)。

晩飯の後も作業を続け、どうにか今日のノルマ達成。この調子なら、来週の〆切に間に合いそう。風呂でシャワーを浴びてすっきりしてから、冷蔵庫からサッポロ黒ラベルを一缶取り出し、プシュッ。

すっかり当たり前のように感じてしまいがちだけど、こうして仕事終わりにビールが飲める日常がいかにありがたいものか、としみじみと思う。春には東北の震災があって、夏には父が逝って、無我夢中でラダック取材に挑んで‥‥。

やらなければいけないことが、たくさんある。忘れてはいけないことも、たくさんある。

敵と味方と

昼、仕事に取りかかろうと思ったら、一通のメール。先週電話口で口論になった取引先の人からの原稿の大幅な書き直し依頼だったのだが、何度読み直しても、何を指示しているのかさっぱり理解できない。仕方なく先方の上司の方に話を振ったら、「ほとんど問題ないですね」と、結局2項目だけの書き直しで決着。何だったんだいったい(苦笑)。

自分のようにフリーランスで世の中を渡り歩いていると、時には、自分の立場と仕事を守るため、怒りたくもないのに怒らざるを得ないことがある。怒ってみせなければ、その時に強いられた不合理が後々までまかり通ってしまうから。僕自身がもっと大物になれれば何の問題もないのかもしれないが(苦笑)、とりあえず今はまだ、望まない戦いをしなければならないことがしばしばある。

僕はもともと丸い性格ではないから、そういう仕事絡みの諍いで敵に回してしまった人も少なからずいると思う。今回口論になった相手からも、藁人形に五寸釘を打ち込みたいくらいには恨まれてるかもしれない(苦笑)。でも僕は、仕事絡みで敵になってしまった人がいたとしても、その人を憎んだりはしたくない。そういうことにエネルギーと時間を費やすのは疲れるし、もったいないから。ただ、もう二度と俺に近づくな、と念じるばかりだ。

敵もいれば、味方もいる。結局、長続きする仕事は、互いに信頼できる相手とのものだから。