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あの頃のWebデザイン

午後、九段下で打ち合わせ。ひさしぶりにWeb系の書籍の編集を依頼されたので、著者の方を交えてのキックオフミーティング。

打ち合わせの後の雑談で、僕が昔関わっていたWebデザイン誌の話になった。その雑誌が創刊されたのは、かれこれ十年ほども前。当時は日本でWebデザインが一番熱かった頃で、無名に近い人たちが競い合うように素晴らしいアイデアにあふれたサイトを作り、それが瞬時にWebで喝采を浴びていた時代だった。それがいいか悪いかはともかく、あの頃のWebデザインは、みんなのものだった。

今はもう、Webデザインというと、プロの制作会社が手がける業務というイメージが定着している。件の雑誌も、今は業界の人向けの無機質な内容になってしまった。それは必然の流れだったのかもしれない。

でも、それはもう、僕が好きだったあの頃のWebデザインではないな。

「感謝」のやりとり

疲れていたのか、10時間ばかりも寝た。起きてからしばらくぼんやりとネットを見ていたら、知り合いがこんな記事のことをツイートしていた。

【日刊サイゾー】1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら?

内容云々以前に、この記事からは、イラストレーターという職業に対する敬意が微塵も感じられない。発注元の指示通りに右から左に大量生産する人のことを「職人」と呼んでいるのも、明らかに言葉の選択を誤っている。他の分野の職人の方々に対しても失礼だ。

まあ、この記事を書いたライターも、相当に鬱屈した精神状態なのだろう。こんなことを書いている。

今、有象無象のイラストレーターに求められているのは、筆者のような売文屋に求められていることと近い。原稿料が高かろうと安かろうと、一定のクオリティは保たなければならない。もちろん、原稿料が高ければ、それだけ熱心になるのは当然である。ならばと、原稿料が安いからと手を抜いたら、次から仕事はこなくなる。それにほとんどの仕事では、発注元の指示に従って書くのが当たり前だ。すべての仕事に自分の意見や意図を主張してなんていられない。そういうのは、文豪にでもなって「ぜひ、先生の玉稿を……」と依頼が来るようになってからやればよいことである。

‥‥この記事を読むかぎり、彼が日頃保っている「一定のクオリティ」というのは、相当低い水準にあるのだな、と思わざるを得ない(苦笑)。ちなみに僕の場合、原稿料が高いか安いかは、ほとんどモチベーションに影響しない。自分が面白いと思える本を作れるかどうか、に尽きる。真っ当なクライアントと仕事をしていれば、理不尽なギャラを提示されることもないし。

僕たちの仕事は、「感謝」の気持のやりとりだな、と感じることがある。取材させてもらった相手に対する感謝。制作に関わったスタッフに対する感謝。本を販売してくれる書店に対する感謝。本を読んでくれる読者に対する感謝。そういう気持を忘れずにコツコツやっていれば、取材先の人や、クライアントのスタッフや、書店員さんや、読者の方々から、感謝の気持をもらえることがある。それこそが、僕たちの仕事のやりがいなのだと思う。

この記事を書いた人は、そういう気持を忘れてしまっているのかな。

これからの仕事

午前中から、横浜で取材。立て続けに三件のインタビューをこなすと、さすがに疲れる。取材の本数が増えると、ギャラはそれなりに増えるが、それ以上に体力的にキツイ。取材だけでなく、執筆作業もあるわけだし。

考えてみれば、同年代で僕のようにフリーランスで書き仕事をしている人は、周囲でもだいぶ少なくなった気がする。仕事はキツイし、その割になかなか食えないしで、見切りをつける人が多いのもうなずける。ただ、多くの同業者がこの仕事を離れる最大の理由は、自分がやりたい仕事をやれているかどうか、自分がイニシアチブを握れる仕事をやれているかどうか、という点にかかっているような気もする。いつまでもクライアントに指示されるまま、ひたすら売文を続けるのは、精神的にも厳しいだろうから。

僕自身、手がけている仕事は本当にいろいろで、単著の書籍や署名入り記事ばかり書いているわけではない。ただ、その時々の自分が作りたい本は何なのか、その軸ははっきりしてるから、それ以外の仕事はすっぱり割り切ってサクサク捌いている。最近は、写真と文章で作る旅についての本が自分が一番力を発揮できる題材だということがわかってきたから、別に迷いもない。

だからまあ、しばらくは廃業せずにこの仕事を続けていけると思う(笑)。

山裾での取材

今日は遠出しての取材。三鷹から新宿経由で、小田急線の秦野駅へ。そこからさらにバスに乗って20分。片道で軽く二時間超というのは、さすがにきつい(苦笑)。おまけに、終わった後は都心で別の打ち合わせがある。

そういえば、秦野は、今年の春先、丹沢表尾根を縦走した時に来た駅だ。今日は曇りがちの天気だったので、山の方はよく見えなかったが、それでも、すぐそばまで丹沢の山裾が迫っている場所であることには変わりない。田舎ならではの、どこかのほほんとした雰囲気が、何だか心地よかった。

ひさびさに、日本でのんびり山歩きしてみたいな。小さなリュックに、弁当と水筒を詰めて。‥‥しかしまあ、明日も朝から取材なわけだが。

人前に出ること

終日、部屋で仕事。手元にある書き仕事は昨日のうちに終わらせたので、今日は写真のセレクト。とりあえず、再来月にやる予定のトークイベント用の写真から。

今年は、春先に小規模なトークイベントに二つ出たのだが、来月末に一つ、再来月にも(僕にしては)かなり大規模なトークイベントに出ることになっている。今年はラジオからも何度か出演依頼を受けたし‥‥すべてラダック絡みとはいえ、いったいどうしたんだろ。

人前に出るのは本職ではないし、どちらかというと苦手だ。未だにイベントでもラジオでも、口の中がカラカラにひからびて粘膜がくっついてしまうくらい緊張する(苦笑)。でも、自分が取り組んでいること、自分が大切にしていることを一人でも多くの人に知ってもらうためには、こういう人前に出る機会をコツコツ積み重ねていかなければならないことも、身にしみてわかっている。

あー、人前に出ても口の中がひからびない方法って、ないかなー(笑)。