午後、取材のため、電車に乗って江古田方面へ。
今日の取材先は、ちょうど一年前にも取材したことがある。先方の担当の方は「去年もいらした方ですよね?」と、僕のことを憶えていた。依頼元の営業の方によると、一年前に書いた僕の記事を、先方がかなり気に入ってくれていたのだという。この案件の場合、そういうリアクションはなかなか知る機会がないし、多分にリップサービスも含まれているとは思うのだが、それでも、何だかほんのりと嬉しかった。
少なくとも、僕の仕事は、ザルに水を注ぎ込んでいるわけではないのだ、と。
午後、取材のため、電車に乗って江古田方面へ。
今日の取材先は、ちょうど一年前にも取材したことがある。先方の担当の方は「去年もいらした方ですよね?」と、僕のことを憶えていた。依頼元の営業の方によると、一年前に書いた僕の記事を、先方がかなり気に入ってくれていたのだという。この案件の場合、そういうリアクションはなかなか知る機会がないし、多分にリップサービスも含まれているとは思うのだが、それでも、何だかほんのりと嬉しかった。
少なくとも、僕の仕事は、ザルに水を注ぎ込んでいるわけではないのだ、と。
最近考えていることを、まとまりのないまま、つらつらと書いてみる。
僕は、文章を書いたり写真を撮ったりして、それで本を作って世に送り出すことを仕事にしている。本以外では、ブログやSNSなどを使ったWeb上での情報発信もしている。僕の場合、本づくりとブログでの情報発信はまったく異質のもので、自分の中でもはっきりと区別している。ブログは、その時々の伝えたい情報や思うことを、わかりやすい形でタイミングよく発信していくためのもの。本は、自分が伝えたいことをきちんと突き詰め、徹底的に作り込んでいって、情報としても、モノとしても、ベストの形に仕上げ、ずっと後々まで残していくためのもの。そもそも、果たすべき役割がまったく違うのだ。
ただ、最近思うのは、この二つ以外の選択肢もあるんじゃないかな? ということ。ブログの気軽さと、本のモノとしてのよさとを併せ持ち、両者の間を埋めるような‥‥。最近、次第に注目されつつあるZINEやリトルプレスなどがそれに当たるのかもしれない。それで儲かるとはまったく思わないけれど、少なくとも赤字にならないような形で、ブログでも本でもない形の情報発信をすることの可能性は、検討する価値がある。実際、著名なフォトグラファーでもそうした取り組みをしている人はいるし。
一冊の本を仕上げるには、テーマによっては膨大な時間と手間がかかる。でも、その途上であっても、ブログ以外のきちんとまとまった形で情報を発信していくことはできる。来年以降の旅にまつわるプロジェクトは、もしかすると、そういう形になるかもしれない。
夕方、吉祥寺で取材。一件だけだったこともあって、割とスムーズに終了。駅前でささっとラーメンを食べ、足早に帰路につく。
今日は風がすごい。颶風といっていいくらいの荒っぽい風が、四方八方から吹き付ける。あちこちで、がらがら、どんがらがっしゃん、と何かが吹っ飛ばされてる音が響く。うっかり何かが飛んできて、頭にでも当たったら大変だ。外に長居は無用。
残念だったのは、近所の木蓮。一昨日くらいにようやく咲き揃ってきたのに、今日の風で、早くも花弁がぼとぼとと落ちはじめていた。こんな風に、春の嵐が幾度か過ぎて、季節はめぐっていくのだな。
今、部屋の窓の外で、雨音が聞こえはじめた。
前から予想はしていたのだが、これから来月末にかけて、やたらめったら忙しくなる。
大半は、一年前から受注している大学関係の取材とライティングの仕事。僕が企画して主導権を握るわけではないし、僕の名前が記事に残るわけでもない。依頼された取材を次から次へと捌き、原稿を書いて納品する。自分で企画して本を丸々一冊作るのに比べれば、達成感などは正直少ない。
でも、この仕事にはこの仕事なりの意味がちゃんとある。僕が書いた原稿は、名前を持たぬまま多くの人の目に触れ、時にはその背中をほんの少し、後押しする。その行方を僕が見届けることはできないけれど、もしかしたら何かの力になれているのかもしれないと思うと、キーボードを叩く指が少し軽くなる。
名前のない原稿にも、役割はある。
午後、六本木へ。「ラダックの風息」の担当編集の方とひさしぶりに会う。
仕事柄、編集者の知人は大勢いるけれど、本当の意味で互いの手の内をすべて晒して、あれこれぶっちゃけて話し合えるような編集者の知人は、たぶん数人しかいない。そういう信頼関係がないと、書き手あるいは撮り手としては、自分が大切にしている企画を委ねられないし、意見をぶつけあって質を高めていくこともできないと思っている。
今日のミーティングはすぐに何かにつながるというものではないのだが、僕が今抱えている悩みや葛藤について本当にざっくばらんに話し合うことができたので、それだけで何だか気持が軽くなった。いつかまた、こういう関係で本を作れたらいいなと思う。