Tag: Work

未踏の地へ

昼、千駄ヶ谷で打ち合わせ。これから作る新しい本のデザインをお願いする方と。一緒にお仕事をするのはひさしぶりなのだが、企画のコンセプトや狙いを説明させてもらってるうちに、自分でも気分がちょっとアガってきた。いろいろ困難はあるだろうけど、いい本にできるといいな。

その後は場所を変えて、編集者さんと今後の進め方などについて軽く打ち合わせ。別れた後、新宿でちょっと買い物をし、目黒へ移動。駅の近くの喫茶店で、編プロの方と打ち合わせに臨む。

何の打ち合わせかというと‥‥2月中旬から10日ちょっとの間、バングラデシュに行くことになったのだ。バングラデシュ政府観光局が主催する、各国のマスコミ関係者を対象にしたファム・ツアー。これに参加して、案内される各地の見どころを撮影してくるのが主なミッション。いきなり予想の斜め上すぎる展開だが、これも仕事だ。

未踏の地への旅は、ちょっと楽しみでもある。その取材の影響で、新しい本の制作スケジュールがキツキツになってしまうかもしれないので、油断はできないけど。まずは目の前のことを、一つひとつ確実にやっていこう。

お金のやりとり、気持のやりとり

年末年始に帰省していた時、中1の姪っ子の宿題で「身の回りにいる人に“仕事とは何か”について聞きなさい」というのがあったので、僕もそれに答えることになった。

「仕事って、結局はお金のやりとりなんだよね。どんなにきれいごとを言っても、それは変わらない。仕事はお金のやりとり」と僕が言うと、近くにいた母があわてて何か口をはさもうとしたが(笑)、僕はそれを止めて言葉を続けた。

「でも、仕事でお金のやりとりをする時、お互いに対する感謝の気持も一緒にやりとりできたら、それはたぶん、いい仕事だったんじゃないかなと思うよ」

僕自身、常にそんな風に気持のやりとりもできる仕事をしているとは言えない。それなりに高額な報酬だったのに、依頼主と気持が通じ合わなくて、心の中にもやもやした後悔を残したまま終えた仕事も、正直たくさんある。そういう依頼主との仕事は、やっぱり長くは続かない。

でも、ほんとにささやかな規模の仕事でも、「いい文章を書いてくれてありがとう」とか、「いい写真を撮ってくれてありがとう」とか、関わった相手の気持が伝わってくると、自分の思い入れが文章や写真を通して伝わったのかな、とうれしくなる。それは社交辞令なのかもしれないけど、そうして伝わってくる気持が、僕を支えてくれている。

一字々々、一枚々々に、気持を込めて。たとえ愚直でも、僕にできるのはそれだけ。

スタートライン

午後、出版社の編集者さんからメール。今日開催された新刊会議で、僕が企画・編集する、新しい本の出版が承認されたとのこと。

この企画、一年前に打診して以来、長い時間を経て、去年12月にようやく実務者レベルの会議にかけられたものの、コンセプトがうまく伝わらずに再提出というがけっぷちの状態に。年末の会議で二度目の提出をしてどうにか踏みとどまり、今日の新刊会議で正式なゴーサインが出たという次第。

知らせを聞いた時、うれしかったというより、ただただ、ほっとした。この一年、ずっと胸の中につかえていた重苦しいものが、ようやく半分だけすとんと抜け落ちたというか。

僕の仕事は、本を出すこと自体が目標なのではない。書店でその本を手に取って買ってくれた人が「買ってよかった」と少しでも思ってくれるように、細かいところまで徹底的に心を砕いて、いいと思える本を作り、それを届ける。その最後の最後に行き着くところまでをイメージして、それを実現しなければ意味がないと思っている。

今はまだ、スタートラインに立っただけだ。

弱点の把握

昨日までに書き上げた原稿を、今日は一日かけて、じっくり推敲。少し時間を空けながら何度も読み返して、ちょっとずつ手を入れていく。

文章を書く時、きちんと推敲をして細部を見直すのは、大事な作業だ。推敲を端折ると、たいていろくでもない結果になる。でも、ただ漠然と読み返すだけだと、あまり効果的な推敲にはならない。自分の書きぐせや弱点をあらかじめ把握しているかどうかで、仕上がりにはかなり差が出ると思う。

今回の原稿は、どうだったかな。さっき納品してみたものの、まだそわそわする。ゲラの段階でもう一回、ちゃんと見直さねば。

越えていくハードル

昨日と今日は、ほぼ完全に部屋に閉じこもって、先週の取材の原稿執筆に集中。今年最初のハードルは、テープ起こしに手間取ったのでどうなることやらと思ったが、まずまず順調にクリアできそう。

今年はこれからも、結構な頻度でいろんなハードルが待ち構えている。その大半は自分自身で設置してしまったものだが(苦笑)、必ず越えなければならないハードルもあれば、越えられるかどうか、自分でも半信半疑の高いハードルもある。越えてみたはいいけれど、誰にも振り向いてもらえないハードルもあるかもしれない(苦笑)。

まあでも、やるしかないのだ。自分がどこに辿り着くのか自分でもわからないけど、目の前に現れるハードルを一つひとつ越えていかなければ、どこかに辿り着くことすらできないのだから。