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谷に吹く風

ひさしぶりに、ブログをプチリニューアル。ヘッダの写真を変えてみた。スピティの、キー・ゴンパ。

この写真を撮った時は、ちょっと手間取った。当初は、トレッキングの出発地点でもあったこのキー・ゴンパまでジープをチャーターして移動し、ここでゴンパの撮影をした後に何日かトレッキングを行い、帰りは別の村からローカルバスでカザに戻るという計画だった。ところが、キー・ゴンパに着いた時は、あいにくの曇天。写真は撮れなくはなかったが、どんよりとして面白味に欠ける絵柄だった。

で、ガイドのタンジン(テンジンという名のスピティ流発音。ラダックではスタンジンと発音する)と相談して、帰りに天気がよかったら、バスを途中下車してもう一度キー・ゴンパに行って撮影をし、そこからどうにかしてカザに戻ろうと決めた。なぜだかわからないが、このゴンパの写真は、それだけの手間をかけてもしっかり撮る価値があると感じたのだ。

結果は、ごらんの通り。焦点距離12mm(35mm判換算で18mm)のレンズで、スピティの谷に屹立するゴンパを気持よく捉えることができた。考えてみれば、ここまでワイドな画角でうまく画作りできるゴンパって、ラダックには意外と少ないかもしれない。この日も晴れていたのは朝の数時間だけで、昼にはまた曇り空になってしまった。ツキにも助けられた。

今年の夏のスピティでは、ほかにも割と納得のいく写真が何枚か撮れたのだが、次に作る本のことなどもあるので、しばらくは出し惜しみしようかな、と思う。

Webサイトを作る

今日の午後は、Webサイトの立ち上げ作業をしていた。昨年夏のラダック取材でお世話になったご夫婦が経営する旅行会社のサイトを、僕が作らせてもらったのだ。

去年のうちに仕込みはだいたい終わっていたのだが、サイトをアップするレンタルサーバや独自ドメインの情報が確定したので、データのアップロード作業をしていた次第。WordPressを新規インストールし、プラグインやテーマを設定し、固定ページのテキストとソースコードを移植してサイト内リンクを張り直し‥‥。地味に手間取って、夕方くらいまでコツコツとやっていた。まあでも、こういう作業は嫌いじゃない。

依頼主からは、使用したいキーカラーやメインで使う写真の指定と、「できるだけシンプルにまとめたい」という要望があったくらいで、あとはかなり好き勝手に作らせてもらった。結果、ものすごくシンプルなサイトになったけど、こういうつくりの方が何かあってもメンテが楽だし、長続きするような気がする。

というわけで、まだ仮オープンの状態だけど、「Mother Earth tours & travels / MILA’S HOUSE」のサイト、どうぞよろしく。

Aside

前からこのブログをご覧いただいている方はお気づきかもしれないが、少し前から、各エントリーのフッタにTwitterやFacebookなどのシェアボタンなどが表示される仕様にしている。これは、Jetpack by WordPress.comという、WordPressの開発元Automattic社が提供するプラグインによるもの。

このプラグインは現時点で8つほどの機能がセットになっていて、サイトの統計情報やTwitter対応ウィジェットなどの他、Sharedaddyというシェアボタン表示機能が用意されている。利用するにはWordPress.comに登録してアカウントを取得する必要があるが、たいした手間ではない。ミクシィやはてブといった日本ローカルなサービスにはデフォルトでは対応していないが、僕的にはTwitterとFacebookで十分。設定などの使い勝手も悪くない。

何の苦もなくこういう機能が実装できるのが、WordPressのいいところだよなあ、と思う。

標高5400メートルの記憶

ちょっとした思いつきで、ブログのデザインを変えてみることにした。背景の木目調のテクスチャを明るい梨地のものにして、ヘッダ部分の写真も入れ替えた。

この写真を撮ったのは、2008年の夏、ラダック南東部の高原地帯、ルプシュ地方をトレッキングで旅していた時のこと。標高約5400メートルのキャマユリ・ラという峠から、遥か彼方、標高4500メートルのところにあるツォ・カル(白の湖)をふりかえった光景だ。

数十歩ごとに膝に手をついて呼吸を整えなければ歩けないほど酸素が薄い場所なのに、足元にはなぜか、小さな黄色い花が一面に咲いていた。二日前に通り過ぎてきたツォ・カルの岸辺には、名前の由来となった、白く凝固した塩の塊が広がっているのが見える。その向こうに連なる山々には、すぐ上に浮かぶ雲が、まだらに影を落としていた。

峠の頂上で、岩に腰を下ろして水筒の水を飲んでいると、馬に跨がった遊牧民の若者が、下から駆け上がってくるのが見えた。こんな途方もない世界で、何物にも縛られることなく、自由に生きている人々がいるのだ。

あの時、頬をなぶっていた風のひんやりとした感触を、僕は今も憶えている。いつか、あの場所に戻る時が来るのだろうか。

ジャンゴ・ラインハルト

この間、WordPress 3.1がリリースされたので、このブログのシステムをアップデート。テーマファイルも古いテンプレートと突き合わせつつ、ちまちまと修正する。

WordPressの各バージョンには、ジャズ・ミュージシャンにちなんだニックネームがつけられている。バージョン3.1の名前は「Reinhardt(ラインハルト)」。僕も大好きなギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトにちなんだ名前だ。

彼が生み出したマヌーシュ・スウィングと呼ばれる奏法には、時にうきうきと、時に物悲しい、ぎゅっと心をつかまれるような魅力がある。そういえば、以前、このマヌーシュ・スウィングを題材にした「僕のスウィング」という映画も観たことがあったっけ。甘酸っぱくて、どうにもならないほどせつない終わり方をする映画だった。

そんなわけで今、ひさびさにジャンゴのCDを引っ張り出して聴きながら、WordPress 3.1をいじっている。