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ひさびさの一人暮らし

今週の水曜から土曜の夜まで、相方は法事のため、関西に帰省中。旅に出る以外ではひさしぶりの、一人暮らしのような時間を過ごしている。

とはいえ、連休中なのに仕事は山のように積み上がっているので、毎日、黙々と机に向かっている。先週の平日に取材した大学案件の取材原稿はあらかた片付いたが、別のところからエッセイの原稿を依頼されたので、ここ三日間はそれをずっと書いていた(予想以上に手間取った……)。ついさっき、それもどうにか形にできたので、ようやく一息ついたところだ。まあ、新しい本のゲラチェックはまだこれからだし、大学案件の新しい取材も来週すでに何件か入ってるしで、まったく気は抜けないのだが。

なので、一人暮らしの間は、自炊に時間をあまりかけないことにした。午前中に朝昼兼用でインスタントラーメンか食パンを食べ、コーヒーをいれて、ごりごり仕事。夕方は西荻界隈のカレー屋さんのどこかに行って、さっといただいて、家に帰って、またごりごり仕事。そんな風にして、いささか無味乾燥な日々が過ぎていっている。

でも、とりあえず明日は、息抜きの日にしておこうかな。来週も再来週も、相当忙しくなりそうなので。

停電で一騒動

昨日の夜中、宮城県沖の深海で、大きな地震があった。東京も震度4くらいだったか、それなりに揺れた。

揺れ以上にびっくりしたのは、停電だった。東京都内だけで、200万軒以上が停電したそうだ。福島県などにある火力発電所が4カ所くらい停止して、電力の需給バランスを保つための装置が作動した結果らしい。僕の自宅のある界隈では、結局、1時間くらい停電が続いた。東京でこんなに長時間の停電を突発的に経験したのは、初めてかもしれない。

夜中の1時過ぎに電気は通じるようになったのだが、困ったのは、固定電話とインターネットの光回線が、復旧しなかったこと。今朝になってもつながらないままなので、マンションの管理会社に電話して相談。管理会社がNTTに連絡したところ、地震の影響で依頼が立て込んでいて、確認作業に来れるのは夕方頃になってしまうと知らされた。

困った。今日は昼過ぎから自宅で、リモート取材の仕事が入っていたのだ。復旧の見込みが立たないと知らされたのも午前中の遅い時刻だったので、取材の依頼元に連絡して、あれこれ調整を試みる。取材日を来週にずらせないかとか、取材時刻を遅らせて、その間に依頼元の東京支社に僕が出向くかとか、僕の代わりに依頼元の編集担当の人が取材するかとか……。文字通りのどたばた騒ぎになってしまった。

そうして、取材予定時刻の20分前になった頃、何の前触れもなく、急に光回線の接続が復旧した。理由はわからないが、たぶん、どこかよその場所でトラブっていた中継機器が修理された際に、うちの回線も一緒に復活したのではないかと思う。

本当にギリギリの土壇場で、取材に対応できることになり、あわてて身支度と準備を整えて、本番に突入。どうにか無事に捌き切る。終わった後は、本当にいろんな意味で疲れ果ててしまって、布団に潜ってしばらく寝てしまった。寝不足だったもんなあ、昨日の夜も。

願わくば、でかい余震など、起こりませんように。

本の置き場所

先週までに本の草稿を最後まで書き上げ、今週はもっぱら確定申告の準備をしていたのだが、それもあらかた終わったので、ひさしぶりに、本棚の整理に手をつけた。

確定申告の準備をしていて、新聞図書費の支出額で実感したのだが、ここ数年、本の購入冊数が明らかに増えた。コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことや、自宅のテレビを処分したことで読書時間が長くなったことなどがあると思う。それはそれで良いのだが、問題は、本の置き場所である。

僕は以前からスライド書棚を使っているのだが、書棚だけではとっくの昔にしまいきれなくなっているので、ダイソーの収納ボックスに詰めてソファの下に逃がしたり、枕元の空きスペースに置いたり、明らかにもう読まないだろうなという本は古本屋に持って行ったりしている。それでも、書棚にできた隙間は、あっという間に埋まっていく。今住んでいる自宅もそんなに広くはないので、デッドスペースも早晩なくなってしまうだろう。本だけでなく、アウトドア用の服や装備、カメラ機材など、いろいろあるので。

壁一面、床から天井まで書棚になってるような家にも憧れはあるのだが、たぶんそういう書棚も、あっという間に埋まってしまうのだろうな。

通勤生活

今週から、ある種の通勤生活を始めることになった。前に一度、お試しで利用した吉祥寺のコワーキングスペースを、しばらくの間、平日の日中限定のプランで月極契約して使っていくことにしたのだ。新しい本を少なくとも一冊、来年出すことが決まって、そろそろ本格的にその執筆に取り掛からなければならないので。

西荻窪から吉祥寺までは、天気がよければ歩いていく。バッグには、ノートPCとその日必要な紙の資料(昔のノートなど)。行きしなにコンビニでサンドイッチや無糖カフェオレとかを適当に買い、コワーキングスペースのブース席に籠って、ひたすらカタカタ、PCのキーボードを叩く。夕方頃まで作業して、また歩いて西荻窪まで戻り、家で晩飯の支度をする……といった具合。

実際にやってみると、いろいろ新鮮。取材以外のデスクワークで別の作業場に通うというのがまず自分的にはとても珍しいし、コワーキングスペースのブース席は必要十分なぼっち感があって(あと、場所代を払ってることもあって)作業に集中できる。これから数カ月間は、こんな感じで執筆を進めていこうと思っている。

執筆が佳境にさしかかったら、また旅館カンヅメ合宿もやろうかな。このめんどくさいご時世、自分なりに無理のない範囲で、楽しみながら働きたい。

フヅクエで本を読む

最近は、仕事がそれほど忙しくないのもあって、週に一度くらいのペースで、フヅクエ西荻窪店に行っている。

フヅクエは、「快適に本を読む」ための環境を提供することに特化したお店だ。その決まりごとについてはお店のサイトを見てもらうのが手っ取り早いが、会話やおしゃべりは禁止、パソコンやタブレットでの作業も禁止、ノートを開いての勉強なども禁止。基本的に、お店の提供する飲み物や軽食をいただきつつ、自分で持ち込んだ本かお店に置いてある本を読むことだけが推奨されている。これまでは初台と下北沢にお店があったのだが、二カ月ほど前に西荻窪店もオープンした。

こう書くと、規則でがんじがらめの窮屈なお店と思われるかもしれないが、まったくの逆。「一人で静かにゆっくり本を読み耽りたい」という人には、これ以上ないくらい居心地のいい場所だ。店内はゆったり落ち着いた雰囲気で、照明の加減も、椅子の座り心地も、本を読むのにうってつけ。軽食も飲み物もおいしい。他のお客さんも互いに気を遣いながら、静かに自分の本に集中している。その気になれば、3時間でも4時間でも本を読み耽っていられる。店内は混み合っているわけでもなく、そもそも誰も声を発しないので、今みたいなコロナ禍の状況下でもかなり安心して過ごせる。

僕の場合、昼過ぎから予約を入れて、初めに軽食と飲み物をいただいた後、ただただひたすら本を読み、途中で飲み物の追加注文を入れたりして、3時間ほどでお店を出る、というパターンにしている。今はカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』を熟読中。贅沢な時間だ。本を読むことの愉しさ、豊かさを、あらためてしみじみ実感している。

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アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』読了。稀代のストーリーテラー、ル=グウィンによる小説執筆のための手引き。英語と日本語の性質の違いはもちろんあるが、僕のようなノンフィクションの書き手にも参考になる部分が多かった。今までの経験値で何となく身につけていたつもりの文体や技法を、あらためて整理して見直すきっかけにできそう。それにしても、ル=グウィン先生のコメント、どれもめっちゃ直球で、グサグサ刺さる(笑)、いい意味で。