Tag: Nishi-Ogikubo

トドメを刺される

最近、やたらめったら、忙しい。三月頃からずっと、余裕のない、せわしない日々が続いている。

原因はシンプルで、六月に出す新刊『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』の編集・校正作業と、例年この時期に繁忙期を迎える大学案件の取材(最近はすべてリモート取材だが)、それと今年から始まった、下北沢の本屋B&Bから業務委託されているトークイベントの企画・コーディネートの仕事(特に四月は自分自身が出演する側でもあった)が、全部集中してしまって、同時進行で進めなければならなかったからだ。

そのうちの一つ、『インドの奥のヒマラヤへ』の作業は、今日の午前中に色校のチェックを終えて、ようやく解脱した。今日は午後からリモート取材の予定が入っていたので、関係者の方々に無理を言って色校チェック作業を午前中に設定してもらい、終えると同時に自宅にトンボ返りして、サンドイッチをかじるのもそこそこに約1時間のリモート取材。昨日一昨日も合計4件の取材をこなしていたこともあって、今日の取材が終わった後は、本当に頭が朦朧とするくらいくたびれ果てていて、ベッドに仰向けになって、少し寝ようかと思っていた、のだが。

ピンポンピンポーン。

「こんにちはー。火災報知器の交換作業をしに伺いましたー」

かくして僕は、よれよれぼろぼろの状態で、スマホ片手に部屋の隅に座ったまま、見知らぬお兄さんたちが天井の火災報知器を交換するのを、3、40分ほども見守るはめになったのだった。

何というか、あまりにも見事なタイミングで、完全にトドメを刺されてしまった……。おつかれ、自分。

ノンアルに思う

四月下旬から東京都で発令されている、緊急事態宣言。今回の宣言下では、飲食店での酒の提供が禁じられた。

吉祥寺にあるなじみのバーは、休業せざるを得なくなった。三鷹や西荻窪の行きつけのお店も、ノンアルのドリンクのみにしたり、いつもと業態を変えたりして、それぞれ頑張っている。そうしたお店に行くと、いつもと同じ愛想のよさで、いつもと同じように心のこもった、おいしい料理を出してくれる。でもさすがに、酒を出せなくなったというのは、相当きついようだ。去年からずっと、時短営業だ何だとあれこれ締め付けられる中で、いろいろ工夫して頑張ってきただろうに。

最近の酒造メーカーの技術力はすごいので、ノンアルコールビールも、味はそんなに悪くなく、それなりに飲める。じゃあ当面は外食もノンアルでしのぐか、と思えるかというと……正直、まったく納得できない。

コロナ禍が始まって、かれこれ一年以上経つ今になって、飲食店に酒の提供を禁じるのは……理論的・戦略的・医学的な根拠に基づく判断というより、行き当たりばったりにあれこれ講じてきた対策では感染拡大を抑えきれなくなったから、とりあえず酒を止めてみるか、という窮余の策でしかないように思う。理論的・戦略的・医学的な根拠に基づいて、広範囲な検査と隔離と補償を徹底してきた台湾やニュージーランドのような国々の今の平穏ぶりとは、あまりにもかけ離れた結果だ。

今の日本のこの惨憺たる結果を招いたのは、間違いなく、政府与党の政治家たちが、無為・無策・無能だからだ。彼らがまっとうに考えて仕事をしていれば、感染拡大はもっと抑えられたし、医療崩壊も起こらなかったし、多くの人が困窮に追い込まれるのも防ぐことができた。酒だって普通に店で飲めた。ライブや演劇にだって普通に行けた。オリンピックなんて、とうの昔に返上していたはずだ。

まっとうな思考のできない政治家が、自らの過ちを省みることも認めることもせず、詭弁を弄して地位と利権にしがみついているうちに、日本は本当に、ぐちゃぐちゃな状態になってしまった。

次の総選挙まで生き残れたら、自分の一票で、自分の意志を示そうと思う。

西荻カレー天国

僕が今住んでいる西荻窪は、カレー屋さんが、めちゃめちゃ多い。さっき、自分が入ったことのある西荻のカレー屋さんを数えてみたら、優に10軒はあった。それでもたぶん、総数の半分かそこらくらいだと思う。

それらの内訳も、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュなどのインド亜大陸各国のカレーのほか、フレンチ仕込みや和風テイストなど、オリジナルのアレンジのカレーを出す店もとても多い。タイ料理店やベトナム料理店で出すそれぞれの国のカレーも含めると、まじでとんでもない種類のカレー屋さんが、この小さな駅の界隈にひしめいている。あと、自前の店舗ではなく、他店に間借りする形でカレーを出している人気店もたくさんあるそうで、全部をフォローするのは、よほどのカレーマニアでないと難しい。

三鷹駅の北口側に住んでいた頃は、自宅の近くにあったのはココイチくらいで、南口側のリトスタまで行ってようやくランチのカレーにありつけるくらいだったから、本当に隔世の感がある。あの頃と比べると、今は僕も自宅で週一ペースでスパイスカレーを自炊するようになって、お店でカレーを食べていても、スパイスの香りや味わいが以前よりわかるようになってきた気がするので、最近はカレーを食べること自体がますます楽しくなった。

そんな今日この頃ではあるのだが、今週自炊する予定のカレーは、ハウスジャワカレーの粉末ルーを使った、ごく普通のビーフカレー(笑)。まあ、これはこれで、うまいんだよなあ。

ポトフを煮る


寒くなってきたので、昨日の夜は、ポトフを作った。

西荻窪のソーセージハウスもぐもぐで、ポトフ向きのソーセージを2本ずつ2種類と、厚切りのベーコンを1枚調達。野菜はキャベツ、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ。野菜とベーコンをそれぞれ切って、丁寧に鍋に詰める。茅乃舎の野菜だしパックで作ったコンソメ1カップを鍋に入れ、蓋をして煮立たせてから、弱火で20分。蓋を開けて中の様子を確認し、ソーセージを上にのせ、さらに20分(最初からソーセージを入れて煮込むと、たいてい皮がはじけてしまう)。野菜が煮崩れないように、ごく弱火で、ほどほどの時間煮ると、きれいに仕上がる。

昨日は日中にちょっといらっとする出来事があったのだが、良い食材を使って、確実においしく作れるレシピで、きれいに料理を仕上げて盛り付けて、それを一気にきれいにたいらげると、ストレスが吹っ飛んで、ものすごくすっきりした。料理というのは、こういう役立ち方もあるのだなあ、と思う。

食パンと男の子

少し前の週末、近所のパン屋さんへ、食パンを買いに行った時のこと。

そこは週末の3日間だけ営業するスタイルのお店で、開店時間の正午から、店の外には7、8人の行列ができていた。僕の前には、お父さんとお母さんと男の子と女の子の4人家族が並んでいた。たぶん、家でのおひるごはんに、惣菜パンや菓子パンを何個か買って帰るつもりだったのだろう。

「ねえ、何のパンにするの?」と、お母さんが男の子に訊く。

「えーっとね、食パン」
「……食パン?」
「ぼく、食パンがいい。食パンが食べたい」

見るからに困惑してるお母さんを残し、お父さんは男の子と女の子を連れて、近所のコンビニにジュースを買いに行った。で、そのうちそのお母さんの番が来て、いくつか惣菜パンと菓子パンを注文して、エコバッグに受け取っている時、コンビニから3人が戻ってきた。

「ねえママ、食パンは? 食パン買ってくれた? 食パン入ってる? ぼく、食パン食べたいんだー!」

生返事をしながら、店の前を離れるお母さん。まあ、そりゃそうだ。その子一人のためだけに、食パン1斤買い足すわけにはいかないだろうし。

しかしまあ、何であんなに食パンが好きになったんだろう。きっと将来、オトコマエになるね(笑)。